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よくある質問

アレルギーに関する
質問をまとめています。

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ぜん息

「ゼーゼー・ヒューヒュー」(ぜん鳴)したらぜん息ですか?

1回の「ゼーゼー・ヒューヒュー」だけではぜん息の診断はできません。しかし、何回も繰り返される場合は、ぜん息の可能性があります。乳幼児は、年長児と比較して気管支が細くて、痰などの分泌物の量も多いため、呼吸器感染症(急性気管支炎や急性細気管支炎など)でもぜん息と同様に「ゼーゼー・ヒューヒュー」が起きることがあり、ぜん息だけでぜん鳴が起きるわけではありませんので、ぜん息と診断することは簡単ではありません。かぜをひいたときなどに胸のあたりから「ゼーゼー・ヒューヒュー」という音が聞こえたり、息をするのが苦しそうになったりすることが3回以上起こしたことがある、あるいはそのような症状が気管支拡張薬の吸入で改善する場合には「乳幼児ぜん息」と診断されます。また、ぜん息の長期管理薬(ロイコトリエン受容体拮抗薬や吸入ステロイド薬)を1か月ぐらい服薬して、その効果のあらわれ方で判断する場合もあります(「診断的治療」といいます)。

走るといつも咳込むのですが運動しないほうがよいでしょうか?

運動をすると咳が出る人は「運動誘発ぜん息」の可能性があるので、医師に相談して、症状なく運動ができるように必要な治療を受けましょう。運動はぜん息の増悪因子の一つですが、適度の運動は体力づくりに欠かせません。すでにぜん息の治療が開始されていても運動時の症状を繰り返す場合は、ぜん息のコントロールが不十分ということですので、治療法の変更などの対応が必要で、かかりつけ医に相談してください。まだぜん息の診断を受けていない場合には、他の病気かどうかを確認する必要がありますので、医療機関を受診しましょう。

ぜん息の長期管理ではどのような治療薬を使用するのですか?

急性増悪(発作)の強さと起こる頻度からぜん息の重症度が決まり、それに応じて治療の内容(治療ステップ)が決まります。長期管理はぜん息の特徴である気管支の慢性的な炎症をしずめるために行われる治療で、根気強く継続することが重要です。主にロイコトリエン受容体拮抗薬の内服薬や吸入ステロイド薬が用いられますが、吸入ステロイド薬は正しい吸入方法で吸入しないと十分な効果が得られません。

急性増悪(発作)時の病院受診のタイミングについて

急性増悪(発作)は、軽度なものから重篤なものまでさまざまです。「強いぜん息発作のサイン」(下段)に注目して、いずれかのサインがある場合にはすぐに受診しましょう。特に強い呼吸困難や意識レベルの低下(意識低下あるいは過度な興奮)があるときには救急隊の要請をします。「気管支拡張薬の吸入薬や内服の効果が不十分」、「苦しくて眠れない」、「気管支拡張薬が手元にない」などのときは受診してください。「強いぜん息発作のサイン」がなく、手元に気管支拡張薬(吸入薬や内服薬)がある場合は、使用して症状が改善したら自宅で様子を見ます。

乳幼児の「強いぜん息発作のサイン」
・咳が激しい(嘔吐することがある)
・ぜん鳴が著明(時に減弱)
・胸の骨の上、鎖骨の上、ろっ骨とろっ骨の間(肋間)がくぼむ
・呼吸が速い(頻呼吸)
・息を吸うときに鼻の穴をひろげて空気を取り込もうとする(鼻翼呼吸)
・息を吸うときに胸がくぼみ、腹だけがふくらむ(シーソー呼吸)
・抱かれているほうが楽(起坐呼吸)
・寝ない(または、眠れない)
・顔などの皮膚や粘膜が青紫色になる(チアノーゼ)
・いかにも苦しそうに「うーうー」という(呻吟)
・脈が速い(頻脈)
・機嫌が悪い
・泣き叫ぶ(興奮)
・呼びかけに反応しない、ぐったりしている(意識レベルの低下)
(『小児気管支喘息治療・管理ガイドライン2017』より補足して引用)

ぜん息が増悪する因子には何がありますか?

ぜん息の増悪因子はさまざまなものがあります。主なものは、①吸入アレルゲン(ダニやペットの毛、カビなどの室内アレルゲン)、②呼吸器感染症(RSウイルスやインフルエンザなどのウイルス感染、③空気汚染(たばこや線香などの煙、PM2.5や黄砂など)が代表的です。他にも悪天候や激しい運動、過換気、ストレスなども増悪因子となります。

毎日吸入ステロイド薬を使用していますが大丈夫でしょうか?

吸入ステロイド薬は、内服のステロイド薬と異なり、副作用がきわめて少なく、医師が指示する量を守って使用すれば、長期間使用しても安全な薬です。吸入ステロイド薬は、毎日使用することで十分な効果が得られる薬です。ある程度以上の量の吸入ステロイド薬を半年以上続けると、成人になったときの身長が約1cm小さくなることも報告されていますが、急性増悪(発作)を繰り返すこと自体も成長に影響します。このため、治療では早めに症状をコントロールして、吸入ステロイド薬を減らすことを心がけます。なお、吸入後にうがいをしたり水を飲んだりすることは、副作用を減らすために大切なことです。

ぜん息と言われたのですが水泳は始めたほうがよいですか?

水泳は、重症ぜん息の子どもでも発作が起こりにくい運動であり、呼吸法を習得することや、筋力の増強効果も見込まれます。しかし、水泳のみでぜん息が治ることはありません。発作が起こりにくい体力づくりのためにぜん息患者がスポーツをすることは勧められています。水泳は陸上競技と異なって、①湿度が高い環境下での運動で、②水泳中には過呼吸が起こりにくく、③運動による気道からの熱ロス・水分ロスが少ないため、重症患者であっても発作が起こりにくいスポーツです。しかし、最近ではプールに含まれる塩素の影響を心配する声もあります。水泳のみにこだわらず、本人が楽しんで続けられる運動やスポーツをするのがよいでしょう。

ぜん息と言われたのですがペットを飼ってもよいですか?

毛のあるペットの飼育はお勧めできません。動物の毛やフケはアレルゲンとなり、ぜん息の悪化因子になる可能性があります。飼い始めたときは問題なくても、飼って数年後にアレルギー症状が出ることもあるので、ぜん息と診断されていれば毛のあるペットの飼育は控えるべきでしょう。すでにペットとの接触で症状が悪化している場合は、ペットを手放すことが望ましいですが、すぐに手放せない場合には、ペットを寝室に入れない、屋外で飼育する、定期的に洗うなど実施可能な対策から始めましょう。

ダニに対する具体的な対策にはどのようなものがありますか?

ダニ対策の基本は掃除機の使用と寝具の管理です。主な吸入アレルゲンであるチリダニ(ヒョウヒダニ)は、寝具やソファ、じゅうたんなどに多く生息し、エサとなるのは人のアカやフケです。ダニは生体だけでなく、死がいやフンもアレルゲンとなるため、十分な対応をしましょう。まずは、掃除機をこまめにかけること(目安は1m2あたり20秒ほど)が重要です。床だけではなくダニが繁殖しやすい布団などの寝具の対策として、掃除機がけや布団乾燥機を使用したり、室内の湿度を下げたり、じゅうたんの使用を控えることも効果的です。

ぜん息のコントロールが不十分な状態とはどのような状況でしょうか?

軽い症状であってもぜん息症状がしばしばみられ、気管支拡張薬を使用したり、日常生活に支障をきたしたりしている状態です。ぜん息の「コントロールが良好」とは、ぜん息の症状がなく、スポーツなど日常の生活が普通にできることであり、このような状態を維持することが大切です。

かぜを引くたびに咳が長引くのですが、ぜん息でしょうか?

咳が長引くのはぜん息の可能性がありますが、他の病気でも咳が長引くことがあります。かぜをひくたびに咳が長引く場合にはぜん息の可能性がありますが、鼻副鼻腔炎(黄色や緑色のねばっとした鼻汁)や胃食道逆流(食後に動くと咳がひどくなる)などの病気でも咳が長引くことがありますので、医師の診察を受けてください。

ぜん息の治療は苦しい時だけにするものですか?

ぜん息の治療には、①急性増悪(発作)のときに苦しい症状を取る治療だけでなく、②気管支の炎症をしずめるために長期間にわたって続ける治療もあります。①急性増悪(発作)の治療薬には、気管支拡張薬の吸入薬と内服薬があります。これらの治療薬を必要としなくなることがぜん息の治療目標となります。なお、気管支拡張薬には貼付薬もありますが、これは貼ってもすぐに効果があらわれないので、急性増悪(発作)の治療としては使わないようにしましょう。

子どもの頃に喘息と診断されましたが、その後は落ち着いていました。しかし、40歳を過ぎてから、調子が悪くなってしまいました。現在は年に数回ほど症状が出るだけですが、どうしたらよいでしょうか。

病院やクリニックで呼吸機能検査などにより現在の喘息の状態について調べて、治療が必要かどうかなどを検討する必要があります。アレルギー専門医に相談することをおすすめします。

ハウスダストやダニにアレルギーがあります。環境整備について教えてください。

アレルギー疾患の治療では、アレルギーの原因物質であるアレルゲンの除去や回避が大切です。喘息やアレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎などでは、室内アレルゲンとしては、ダニやカビ、動物の毛・フケなどが挙げられますが、その中でも特にダニ対策が重要です。ダニアレルギーの患者さんにはダニ対策を十分に行ったうえで、それでもなお症状が出る場合には薬物療法を行います。ここでは特に、代表的なダニ対策についてのみ述べます。
ダニ対策としては、ダニの住みかとなりやすい布団に注意が必要です。布団を干して、1m²あたり20秒くらいを目安にして十分に掃除機をかけることが基本です。布団乾燥機も有用です。布団の丸洗いや防ダニ寝具・寝具カバーも役に立ちます。ダニ対策ではダニアレルゲンの元になるダニそのものを撃退することが大切ですが、ダニを殺すには60℃以上の熱水処理や熱風での乾燥が必要になります。布団を干すことで布団が乾燥してダニは増えにくくなりますが、生き延びたダニはすぐまた繁殖します。冷水では、ダニアレルゲンは洗い流すことができますが、生きているダニは死にません。布団の他にも床のカーペットや布製のソファー、ぬいぐるみなどにも注意が必要です。

8歳の子どもの親です。喘息と診断されて、喘息の薬を毎日使用しています。週に1回くらいはゼーゼーするのですが、治療はこのままでよいのでしょうか。

週に1回くらい症状が出るのは、喘息がうまく管理されていない可能性があります。主治医の先生にどのような症状がどのくらいの頻度で出るのかなどを伝えて、現在の治療の進め方について相談してください。ご自宅での喘息の状態を把握するために「ぜん息日誌」に症状の種類やピークフロー値を記録しておくと、医師との情報の共有にも役に立ちます。「ぜん息日誌」はアレルギーポータルでもダウンロードすることができますのでご活用ください。

80歳の女性です。できれば薬を飲みたくありません。薬を飲まないで喘息の治療をする方法はないでしょうか。

現在では、喘息の薬は飲み薬だけではなく、吸入する薬や貼り薬などさまざまな形の薬があります。かかりつけ医の先生に相談してください。

ぜん息で亡くなる方はどのくらいいますか。

最近の厚生労働省による統計調査(2017年)では、15歳以上でぜん息によって亡くなられた方は年間1,794人と報告されています。

自動車の交通量が多い道路の近くに住んでいますが、ぜん息にならないためには交通量の少ないところに引っ越したほうがよいですか。

大気汚染がぜん息の発症因子や増悪因子になることは多くの研究によって明らかですが、だからといって排気ガスなどの少ないところに引っ越すことで、ぜん息の発症が予防できるかどうかはわかっていません。過去に深刻な大気汚染によりぜん息などの呼吸器疾患を中心に多くの健康被害がもたらされましたが、現代は大気汚染の対策が進み、住宅環境など私たちの生活環境も大きく変化しましたので、交通量の少ないところへの引っ越しがぜん息発症の予防になるという十分な根拠はありません。(参考:「小児アレルギー疾患保健指導の手引き」より)

水泳(ベビースイミングを含む)がぜん息の予防によいと聞きましたが、本当でしょうか。

水泳(ベビースイミングを含む)によってぜん息を予防することができるかどうかはわかっていません。水泳(ベビースイミングを含む)によるぜん息の発症予防効果の可能性を示した報告もありますが、その一方で、発症リスクとなる可能性を報告したものもあります。現時点では、水泳によるぜん息の発症予防効果は明らかではありません。(参考:「小児アレルギー疾患保健指導の手引き」より)

ペットを飼うとアレルギーになりやすいですか。

毛のあるペットを飼うことで新たに感作されて、アレルギー症状が出てくることは十分に考えられます。動物と接触することで、アレルギー症状(ぜん息発作やアレルギー性鼻炎など)を起こすことがあります。これまでペットのアレルゲンに感作されていなくても、飼育を始めることで新たに感作されて、アレルギー症状が出てくることがありますので、家族にアレルギー疾患がある人は、犬、猫、ハムスターなどの毛のある動物を新たに飼育するのは避けるほうがよいでしょう。(参考:「小児アレルギー疾患保健指導の手引き」より)

吸入ステロイド薬を吸入する際のポイントを教えてください。

吸入器(デバイス)の種類によって吸い方が異なり、使い始めるときは医師や薬剤師、看護師からの指導を受けながら吸入するとよいでしょう。定期的に吸入指導をしてもらうことも有用です。ドライパウダー製剤では、吸入するときにある程度強く吸入することがポイントです。加圧ガスによって吸入するエアゾール製剤(pMDI)では、吸入のタイミングを合わせることがポイントとなりますが、上手に吸入できない場合は補助器具(スペーサー)を使用します。吸入後はうがいをしましょう。

ぜん息の薬ですが、しばらく発作が起こっていないのでやめても問題ないでしょうか。

ご自分の判断で薬を中止することは避けて、主治医に相談してください。ぜん息では、自覚症状がないときでも、気道の炎症は続いています。ぜん息の症状がない状態が維持できているのは、長期管理薬によって炎症がコントロールできているからです。薬物治療だけでなく、環境の整備や運動などの日常生活の管理にも、引き続き取り組んでいただくことをおすすめします。