成人のぜん息

成人ぜん息の特徴や症状、検査と治療のポイントなどをアレルギー治療の専門家がわかりやすく解説。治療薬や日常の自己管理のコツについても紹介します。

目次

成人ぜん息の特徴について

ぜん息は気道に慢性のアレルギー性の炎症が生じて、さまざまな原因で気道が狭くなり呼吸が苦しくなる病気です。ぜん息には、ダニやカビなどの環境のアレルゲンに反応する「アトピー型ぜん息」と、アレルゲンに反応しない「非アトピー型ぜん息」があります。小児ではアトピー型が多く、成人になるとアトピー型と非アトピー型が半々になるという特徴があります。気道炎症の原因となるさまざまな危険因子の回避とともに、吸入ステロイド薬などでアレルギー性の炎症をしずめる抗炎症治療が必要です。

ぜん息は、症状がないときでも気道にアレルギー性の炎症が存在しています。抗炎症治療をしないでそのままにしておくと、炎症のために何度もぜん息症状(発作)が起きてしまいます。ぜん息の症状(発作)が強くなると気道がふさがり、窒息して命を落とすこともあります。アレルギーが悪化する原因を防いで、アレルギーの炎症を薬でしずめて、ぜん息の症状(発作)が起きないように、積極的に治療に取り組みましょう。

成人ぜん息の症状について

ぜん息治療(長期管理)が不十分になると気管支粘膜の炎症が続くことで組織の線維化が進み、気管支が硬くなり(「気道リモデリング」といいます)、このようになると元の状態に回復しにくくなると考えられています。気道リモデリングはぜん息の慢性化・難治化につながるといわれ、予防するためにアレルギー性の炎症をしずめる治療を継続する必要があります。

ぜん息の症状(発作)は、夜間や早朝に起こりやすいという特徴があります。また、季節の変わり目など前日よりも気温が低下するとき、台風などの気象条件が大きく変化するとき、疲労が蓄積しているとき、かぜやインフルエンザなどの呼吸器感染症にかかったとき、タバコ、線香、花火などの煙や強い臭いなどの刺激を受けたときに急に悪化することがあります。

成人ぜん息の重症度について

ぜん息の重症度は、ぜん息症状のあらわれる頻度とその強さで分類します。ピークフロー(PEF)値や1秒量などの呼吸機能も参考にします。ぜん息の重症度に応じて治療の程度や用いる薬の種類などを決めるため、重症度を正確に知ることはとても重要です。

発作時の呼吸困難の程度は、①苦しいが横になれる「軽度(小発作)」、②苦しくて横になれない「中等度(中発作)」、③苦しくて動けない「高度(大発作)」と、3段階に分類します。

ふだんのぜん息症状の重症度は次のように分類します(未治療の場合)。

  • 軽症間欠型:軽い症状が週1回未満で、呼吸が苦しくなっても短期間で症状が改善し、持続しない状態です。
  • 軽症持続型:軽い症状が週1回以上ですが毎日ではなく、日常生活や睡眠が障害されることが月1回以上あります。
  • 中等症持続型:咳や呼気性(息を吐き出すときの)喘鳴などの症状が毎日あります。週1回以上日常生活や睡眠が障害される状態です。
  • 重症持続型:咳や呼気性(息を吐き出すときの)喘鳴などの症状が毎日あり、日常生活に制限があります。頻繁に発作が生じて日常生活や睡眠が障害される状態です。

成人ぜん息の治療の目標について

ぜん息を治療していくときの目標は、Ⅰ.ぜん息症状の増悪(発作)やぜん息症状がない状態を保つ「症状のコントロール」と、Ⅱ.将来のリスク回避の2点に集約されます。

具体的には、Ⅰは、気道炎症の原因となる危険因子を回避・除去して薬物治療による気道炎症の抑制を行い呼吸機能を良好に保ちます。Ⅱは、ぜん息による死亡を回避すること、急性増悪(発作)を予防すること、呼吸機能が徐々に低下するのをおさえること、治療薬による副作用を回避すること、健康な毎日を良好に保つことを目標とします。

成人ぜん息の検査について

医療機関での検査


医療機関では、十分な問診と、ぜん息以外の疾患を除外したうえで、ぜん鳴や呼吸困難などのぜん息に特徴的な症状の有無を確かめて、下記の検査を進めます。ぜん息症状により検査よりも治療を優先する必要がある患者さんには、ぜん息を前提として治療薬を服用して効果が得られるかどうかを確認します。

また、ぜん息に特徴的な気道可逆性、ピークフロー(PEF)値の日内変動、気道過敏性を測定するなどの呼吸機能の検査をします。このほかに、アトピー素因があるか、ほかのアレルギー疾患を合併しているかを確認して、ぜん息の患者さんで増える血中好酸球数や、ぜん息で数値が高くなる呼気中の一酸化窒素濃度(FeNO)、喀痰好酸球数などを調べます(後述)。

ぜん息の状態を知る方法


自宅でのぜん息の状態は「ピークフロー(PEF)メーター」や「ぜん息日記」などで確認することができます。毎日の患者さんの状態の変化から悪化する原因を探ることで、ぜん息の状態が悪くなるのを事前に予想できるようになることがあります。

ピークフロー(PEF)

PEFは測定する時間によって測定値が異なる「日内変動(にちないへんどう)」があるので、医師は患者さんが毎日測る数値の変化から患者さんの状態を知ることができます。

「ぜん息日記」

  • 天気の変化:前日とくらべて気温が下がるとぜん息症状(発作)が起きる人が増えます。また、季節の変わり目は体調が悪くなる人が増えます。
  • 普段の生活:学校や仕事に行けましたか。体の調子はよかったですか。ぐっすり眠れましたか。日常生活は普通にできましたか。
  • 体の症状:熱はありませんか。鼻水は出ていませんか。咳は出ませんか。
  • ぜん息症状(発作):息苦しさがあったら苦しさを大・中・小で書いてください。
  • :予防の薬(長期管理薬:吸入ステロイド薬など)は服用しましたか。発作止めの薬(発作治療薬:短時間作用性β2刺激薬)は服用しましたか。発作止めの薬を吸った人は何回吸ったかを書いてください。
  • ピークフロー測定値:1日のうち朝と夕方(夜)に2回測定して測定値を書いてください。

※「ぜん息日記」は、環境再生保全機構に申し込むと無料で入手できます。
https://www.erca.go.jp/yobou/pamphlet/form/index.html

ピークフロー(PEF)の測り方

ぜん息のアクションプランシート(ぜん息個別対応プラン)

急にぜん息症状(発作)が起きたときにどうすればよいか、朝と夕方(夜)に測っているPEF測定値が低くなったときにどう対応すればよいかなど、体調が変化したときの対応(アクションプラン)を、医師と相談してあらかじめ決めておきましょう。また、PEF測定値がいくつになったら発作止めの薬(発作治療薬:短時間作用性β2刺激薬)を服用するか、それとも受診するかなどを相談しておきましょう。

病院で行うぜん息の検査

呼吸機能検査

スパイロメーターによる肺活量などの測定や、息の吐きやすさなどを測定してフローボリューム曲線のデータを取る検査などがあります。フローボリューム曲線は、ぜん息の患者さんが呼吸をするときに息が吐きにくくなる状態を測定する検査で、症状がなくても特徴的な結果が得られることから、ぜん息であることを確かめられます。

スパイロメーターの測定
フローボリューム曲線(青色:正常、黄色:ぜん息)

呼気中一酸化窒素濃度(FeNO)測定検査

気道にアレルギー性の炎症があると、吐く息の中(呼気中)に一酸化窒素(NO)という物質が増えます。この濃度を専用の器械で測定すると、ぜん息の患者さんで治療をしていない、またはうまく治療できていないことがわかります。

成人ぜん息の治療の進め方について

ぜん息治療薬の種類

ぜん息症状(発作)が起きたときの治療は、狭くなった気道を拡げる治療で、気管支拡張薬という薬が使われます。気道のアレルギー性の炎症をしずめる薬は「長期管理薬」と呼び、吸入ステロイド薬やロイコトリエン受容体拮抗薬という薬などがあります。最近は最重症の難治性のぜん息患者さんに生物学的製剤が使われるようになっています。ぜん息の症状(発作)がないときにも継続して服用して気道のアレルギーの炎症をしずめることで、ぜん息症状(発作)が起きにくくなります。

長期管理薬は、ぜん息症状(発作)がなくなったからといって自分の判断で服用をやめてはいけません。ぜん息の症状がない状態を維持して、日常生活が普通にできることを目標に治療を進めます。ぜん息の治療のゴールは、ぜん息でない人と同じように運動や日常生活ができるようになること、呼吸の検査で問題がなくなることです。

成人ぜん息の長期管理プラン

成人ぜん息の長期管理は、重症度に応じて治療ステップ1から治療ステップ4まで4つの段階に分けられた「基本治療」と、基本治療でコントロール状態が改善したものの良好な状態にならない場合の「追加治療」で進められます。

喘息予防・管理ガイドライン2024を改変

成人ぜん息の治療薬について

ぜん息発作のときの薬(発作治療薬)

短時間作用性吸入β2刺激薬(気管支拡張薬)

ぜん息の発作で狭くなった気道を拡げる即効性の薬です。薬を吸入すると苦しい呼吸が(一時的に)よくなりますが、気道のアレルギー炎症をおさえることができません。また、1日に何回も使用すると心臓への負担もあるので、注意が必要です。

気道のアレルギー性の炎症をしずめる薬(長期管理薬)

◎印:「代表的な薬の商品名」(製薬会社)

吸入ステロイド薬気道にできたアレルギー性の炎症をしずめると発作が起きにくくなります。炎症をしずめる薬でいちばん効果があるのがステロイド薬で、治療ではステロイド薬を炎症に直接届くように粉・霧の状態にして吸い込む吸入ステロイド薬を使います。
粉・霧状にして吸い込むことでステロイド薬の副作用を錠剤のおよそ100分の1に減らすことができますし、全身性の副作用はほとんどありません。口の中に残ったステロイド薬を洗い流すために、吸ったあとは必ずうがいをします。
◎ドライパウダー製剤(DPI製剤):ドライパウダー・インヘラー(dry powder inhaler)の頭文字をとって「DPI」と呼ばれます:「フルタイドディスカス」「アドエアディスカス」「レルベア」「テリルジー」(グラクソ・スミスクライン)、「パルミコートタービュヘイラー」「シムビコート」(アストラゼネカ)、「アテキュラブリーズヘラー」「エナジア」(ノバルティス)
◎加圧定量噴霧式吸入器(pMDI製剤):英語名のpressurized metered dose inhalerの頭文字をとってpMDIと呼ばれます:「フルタイドエアゾール」「アドエアエアゾール」(グラクソ・スミスクライン)、「キュバールエアゾール」(住友ファーマ)、「オルベスコ」(帝人ファーマ)、「フルティフォーム」(杏林製薬)
◎吸入懸濁液:高齢者でも電動ネブライザーなどで吸入することができます:「パルミコート吸入液」(アストラゼネカ)
ロイコトリエン
受容体拮抗薬
気道のアレルギー性の炎症をしずめて、気管支を収縮させる物質のはたらきをおさえます。
◎「オノン」(小野薬品)、「シングレア」(オルガノン)、「キプレス」(杏林製薬)
気管支拡張薬・テオフィリン徐放製剤:気管支を拡げる作用があり、軽い気管支の炎症をおさえる効果もあります。徐放製剤は成分がゆっくり吸収されて効果が長く持続するようにつくられています。
◎「テオドール」(田辺三菱製薬)など

・長時間作用性β2刺激薬:長時間にわたって気管支を拡げる作用が持続する薬です。長期管理薬として処方されるときは吸入ステロイド薬との配合剤「吸入ステロイド薬/長時間作用性β2刺激薬配合剤」として処方されます。
◎「セレベント」(グラクソ・スミスクライン)など

・吸入ステロイド薬/長時間作用性β2刺激薬配合剤:気道のアレルギー性の炎症をしずめる吸入ステロイド薬と、気管支を拡げる気管支拡張薬の長時間作用性β2刺激薬が合わさっています。
◎「アドエア」「レルベア」(グラクソ・スミスクライン)、「シムビコート」(アストラゼネカ)、「フルティフォーム」(杏林製薬)、「アテキュラ」(ノバルティス)

・長時間作用性抗コリン薬:気管支の緊張をゆるめて拡げる作用をもちます。β2刺激薬とは作用点が異なるので併用することが可能で、吸入ステロイドも加えた3つの成分の配合剤も使われています。
◎「スピリーバレスピマット」(ベーリンガー)

・吸入ステロイド薬/長時間作用性β2刺激薬/長時間作用性抗コリン薬配合剤:気道のアレルギー性の炎症をしずめる吸入ステロイド薬と、気管支を拡げる気管支拡張薬2種類が合わさっています。
◎「テリルジー」(グラクソ・スミスクライン)、「エナジア」(ノバルティス)
生物学的製剤長期管理薬による治療でぜん息症状がコントロールできないような難治性で重症の患者さんに使用される注射の薬で、アレルギー反応をおさえてぜん息症状を改善します。

◎抗IgE抗体オマリズマブ「ゾレア」(ノバルティス)
◎抗IL-5抗体メポリズマブ「ヌーカラ」(グラクソ・スミスクライン)
◎抗IL-5受容体抗体ベンラリズマブ「ファセンラ」(アストラゼネカ)
◎抗IL-4受容体抗体デュピルマブ「デュピクセント」(サノフィ)
◎抗TSLP抗体テゼペルマブ「テゼスパイア」(アストラゼネカ)

これらの薬はぜん息の治療に精通した医師の指導のもとで使用する必要があります。
経口ステロイド薬ほかの長期管理薬で症状がおさえられないときに短期間の使用を原則とします。必要最小量を維持量として使用することもあります。

吸入薬の上手な吸入の仕方について

ぜん息の薬の主役は「吸入薬」です。吸入薬は正しく吸入して初めて効果を得ることができます。ぜん息治療に用いられる吸入薬は、気道の中に直接届くことから少ない量で十分な効果が得られます。

加圧定量噴霧式吸入器(pMDI)は、薬が噴霧されたときにタイミングよく吸い込みます。高齢者などのタイミングを上手に合わせることができない人には吸入補助具(スペーサー)が用意されていて、あらかじめpMDIからエアゾール製剤をスペーサーに噴霧させて、そのあとにスペーサーから薬を吸い込むことで上手に服用することができます。

ただし、多くの高齢者は吸入手技が理解できないことがあるので、最初は吸入手技を何回もみせることも効果的です。吸入手技は、定期的に医師や看護師、薬剤師などにチェックしてもらってください。

上手に吸入薬を服用するポイント

  • 毎日決まった時間に吸入する習慣をつけましょう。
  • 吸入後に、口の中に薬が残らないようにうがいをしましょう(歯みがきの前に吸入するなども習慣化に役立ちます)。
  • 上手に吸入できるようになっても放っておかないで、ご家族みんなで治療に取り組めるように見守りましょう。

環境整備について

ぜん息ではダニやホコリがぜん息症状(発作)の原因になることが多いので、自宅の環境を整備してダニやホコリを減らすことで、ぜん息症状(発作)を起こりにくくすることができます。
室内環境の整備について」もご覧ください。

ぜん息の日常的な管理について

ぜん息の治療(発作治療と長期管理、環境整備)は、ご家族や医師・看護師がチームになって進めていきますが、何よりも患者さん自身が主体的に自己管理をすることが大切です。よい自己管理は、必ずよい結果(治療目標の達成)につながります。

ぜん息のよくある質問

「ゼーゼー・ヒューヒュー」(ぜん鳴)したらぜん息ですか?

1回の「ゼーゼー・ヒューヒュー」だけではぜん息の診断はできません。乳幼児は、年長児と比較して気管支が細くて、痰などの分泌物の量も多いため、呼吸器感染症(急性気管支炎や急性細気管支炎など)でもぜん息と同様に「ゼーゼー・ヒューヒュー」が起きることがあり、ぜん息と診断することは簡単ではありません。かぜをひいたときなどに胸のあたりから「ゼーゼー・ヒューヒュー」という音が聞こえたり、息をするのが苦しそうになったりすることが3回以上起きたことがある、あるいは症状が気管支拡張薬の吸入で改善する場合には「乳幼児ぜん息」と診断されます。また、ぜん息の長期管理薬(ロイコトリエン受容体拮抗薬や吸入ステロイド薬)を1か月くらい服薬して、効果のあらわれ方で判断する場合もあります(「診断的治療」といいます)。

ぜん息が増悪する因子には何がありますか?

ぜん息の増悪因子はさまざまなものがあります。主なものは、①吸入アレルゲン(ダニやペットの毛、カビなどの室内アレルゲン)、②呼吸器感染症(RSウイルスやインフルエンザなどのウイルス感染、③空気汚染(たばこや線香などの煙、PM2.5や黄砂など)が代表的です。他にも悪天候や激しい運動、過換気、ストレスなども増悪因子となります。

急性増悪(発作)時の受診のタイミングについて。

急性増悪(発作)は、軽度なものから重篤なものまでさまざまです。「強いぜん息発作のサイン」(下段)に注目して、いずれかのサインがある場合にはすぐに受診しましょう。特に強い呼吸困難や意識レベルの低下(意識低下あるいは過度な興奮)があるときには救急隊の要請をします。「気管支拡張薬の吸入薬や内服の効果が不十分」、「苦しくて眠れない」、「気管支拡張薬が手元にない」などのときは受診してください。「強いぜん息発作のサイン」がなく、手元に気管支拡張薬(吸入薬や内服薬)がある場合は、使用して症状が改善したら自宅で様子を見ます。

乳幼児の「強いぜん息発作のサイン」
・唇や爪の色が白っぽい
・苦しくて話せない
・息を吐くほうが吸うよりも明らかに時間がかかる
・歩けない
・ボーッとしている(意識がはっきりしない)
・咳が激しい(嘔吐することがある)
・ぜん鳴が著明(時に減弱)
・胸の骨の上、鎖骨の上、ろっ骨とろっ骨の間(肋間)がくぼむ
・呼吸が速い(頻呼吸)
・息を吸うときに鼻の穴をひろげて空気を取り込もうとする(鼻翼呼吸)
・息を吸うときに胸がくぼみ、腹だけがふくらむ(シーソー呼吸)
・抱かれているほうが楽(起坐呼吸)
・横になれない、寝ない(または、眠れない)
・顔などの皮膚や粘膜が青紫色になる(チアノーゼ)
・いかにも苦しそうに「うーうー」という(呻吟)
・脈が速い(頻脈)
・機嫌が悪い
・泣き叫ぶ(興奮)
・呼びかけに反応しない、ぐったりしている(意識レベルの低下)
(『小児気管支喘息治療・管理ガイドライン2023』より補足して引用)

子どもの頃にぜん息と診断されましたが、その後は落ち着いていました。しかし、40歳を過ぎてから、調子が悪くなってしまいました。現在は年に数回ほど症状が出るだけですが、どうしたらよいでしょうか。

病院やクリニックで呼吸機能検査などにより現在のぜん息の状態について調べて、治療が必要かどうかなどを検討する必要があります。アレルギー専門医に相談することをお勧めします。

80歳の女性です。できれば薬を飲みたくありません。薬を飲まないでぜん息の治療をする方法はないでしょうか。

現在では、ぜん息の薬は飲み薬だけではなく、吸入する薬や貼り薬などさまざまな形の薬があります。かかりつけ医の先生に相談してください。

ぜん息のコントロールが不十分な状態とはどのような状況でしょうか?

コントロールが不十分な状態とは、咳などの軽い症状であってもぜん息症状がしばしばみられ、気管支拡張薬を使用したり、日常生活に支障をきたしたりしている状態です。ぜん息の「コントロールが良好」とは、ぜん息の症状がなく、運動など日常の生活が普通にできることであり、このような状態を維持することが大切です。

ぜん息といわれたのですが水泳は始めたほうがよいですか?

水泳は、重症ぜん息の子どもでも急性増悪(発作)が起きにくい運動であり、呼吸法を習得することや、筋力の増強効果も見込まれます。しかし、水泳のみでぜん息が治ることはありません。急性増悪(発作)が起きにくい体力づくりのために、ぜん息患者が運動をすることが勧められています。水泳は陸上競技と異なって、①湿度が高い環境下での運動で、②水泳中には過呼吸が起きにくく、③運動による気道からの熱ロス・水分ロスが少ないため、重症患者であっても発作が起きにくい運動です。しかし、最近ではプールに含まれる塩素の影響を心配する声もあります。水泳のみにこだわらず、本人が楽しんで続けられる運動をするのがよいでしょう。

走るといつも咳込むのですが運動しないほうがよいでしょうか?

運動をすると咳が出る人は「運動誘発ぜん息」の可能性があるので、医師に相談して、症状なく運動ができるように必要な治療を受けましょう。適度の運動は体力づくりに欠かせません。すでにぜん息の治療が開始されていても運動時の症状を繰り返す場合は、ぜん息のコントロールが不十分ということですので、治療法の変更などの対応が必要です。かかりつけ医に相談してください。まだ、ぜん息の診断を受けていない場合には、ぜん息であるかどうか、他の病気かどうかを確認する必要があるので、医療機関で受診しましょう。

自動車の交通量が多い道路の近くに住んでいますが、ぜん息にならないためには交通量の少ないところに引っ越したほうがよいですか。

大気汚染がぜん息の発症因子や増悪因子になることは多くの研究によって明らかですが、だからといって排気ガスなどの少ないところに引っ越すことで、ぜん息の発症が予防できるかどうかはわかっていません。過去に深刻な大気汚染によりぜん息などの呼吸器疾患を中心に多くの健康被害がもたらされましたが、現代は大気汚染の対策が進み、住宅環境など私たちの生活環境も大きく変化しましたので、交通量の少ないところへの引っ越しがぜん息発症の予防になるという十分な根拠はありません。(参考:「小児アレルギー疾患保健指導の手引き」より)

ハウスダストやダニにアレルギーがあります。環境整備について教えてください。

アレルギー疾患の治療では、アレルギーの原因物質であるアレルゲンの除去や回避が大切です。ぜん息やアレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎などでは、室内アレルゲンとしてダニやカビ、動物の毛・フケなどが挙げられますが、そのなかでも特にダニ対策が重要です。ダニアレルギーの患者さんにはダニ対策を十分に行ったうえで、それでもなお症状があらわれる場合には薬物療法を行います。ここでは特に、代表的なダニ対策についてのみ述べます。
ダニ対策としては、ダニの住みかとなりやすい布団に注意が必要です。布団を干して、こまめに、丁寧に掃除機をかけることが基本です。布団乾燥機も有用です。布団の丸洗いや防ダニ寝具・寝具カバーも役に立ちます。ダニ対策ではダニアレルゲンの元になるダニそのものを撃退することが大切ですが、ダニを殺すには60℃以上の熱水処理や熱風での乾燥が必要になります。布団を干すことで布団が乾燥してダニは増えにくくなりますが、生き延びたダニはすぐまた繁殖します。冷水では、ダニアレルゲンは洗い流すことができますが、生きているダニは死にません。布団の他にも床のカーペットや布製のソファー、ぬいぐるみなどにも注意が必要です。

ダニに対する具体的な対策にはどのようなものがありますか?

ダニ対策の基本は掃除機の使用と寝具の管理です。主な吸入アレルゲンであるチリダニ(ヒョウヒダニ)は、寝具やソファー、じゅうたんなどに多く生息し、エサとなるのは人のアカやフケです。ダニは生体だけでなく、死がいやフンもアレルゲンとなるため、十分な対応をしましょう。まずは、掃除機をこまめに丁寧にかけることが重要です。床だけではなくダニが繁殖しやすい布団などの寝具の対策として、掃除機がけや布団乾燥機を使用したり、室内の湿度を下げたりすることも効果的です。

ぜん息といわれたのですがペットを飼ってもよいですか?

毛のあるペットの飼育はお勧めできません。動物の毛やフケはアレルゲンとなり、ぜん息の悪化因子になる可能性があります。飼い始めたときは問題がなくても、飼ってから数年後にアレルギー症状が出ることもあるので、ぜん息と診断されている患者さんの場合は、新たに毛のあるペットを飼育することは控えるべきでしょう。すでにペットとの接触で症状が悪化している場合は、ペットを手放すことが望ましいですが、すぐに手放すことができない場合には、ペットを寝室に入れない、屋外で飼育する、定期的に洗うなど、実施することが可能な対策から始めましょう。

ペットを飼うとアレルギーになりやすいですか。

毛のあるペットを飼うことで新たに感作されて、アレルギー症状があらわれてくることは十分に考えられます。動物と接触することで、アレルギー症状〔ぜん息の急性増悪(発作)やアレルギー性鼻炎など〕が起きることがあります。これまでペットのアレルゲンに感作されていなくても、飼育を始めることで新たに感作されて、アレルギー症状があらわれてくることがありますので、家族にアレルギー疾患がある人は、犬、猫、ハムスターなどの毛のある動物を新たに飼育するのは避けるほうがよいでしょう。(参考:「小児アレルギー疾患保健指導の手引き」より)

成人のぜん息についてさらに詳しく知りたい方へ

動画による解説

成人のぜん息をより深く理解していただくために、当サイトでは専門家監修のオリジナル動画コンテンツもご用意しています。文字だけでは伝わりにくい内容の理解にお役立てください。

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この記事の監修

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