主なアレルギー疾患
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アレルギー性結膜疾患は結膜に生じるさまざまなアレルギー性疾患の総称です。季節性アレルギー性結膜炎は2~5月のスギ・ヒノキ、秋のカモガヤ・ブタクサなどの花粉が飛散するシーズンに、目のかゆみ・充血・流涙などの症状があらわれます。
結膜のアレルギー疾患には、季節性アレルギー性結膜炎のほかに「アトピー性角結膜炎」、「春季カタル」、「巨大乳頭結膜炎」などの疾患も含まれています。学童期に発症することが多い春季カタルでは、視力低下や眼痛のために学校生活への支障、ときには不登校になってしまう場合もありますので、目に症状があらわれたら早めに眼科を受診しましょう。
目はほかの臓器に比べて外界より飛び入るアレルゲンによりアレルギー反応が生じやすいという特徴があります。結膜は直接外界(外気)に接しているために花粉などのアレルゲンが入りやすく、入ってきたアレルゲンは目を常に潤している涙液で洗い流されてしまいますが、残ったアレルゲンは結膜に常在する肥満細胞を介してアレルギー性疾患を起こします。さらに結膜には血管もたくさんあるので、充血や浮腫などの症状を示します。
主な症状は目のかゆみで、掻けば掻くほどかゆくなります。掻くことで角膜に影響を及ぼして視力が低下する場合もありますし、アトピー性角結膜炎は長期間掻くことで水晶体や網膜を傷つけてしまいますので早めに受診してください。
Ⅰ型アレルギー素因があり、かつアレルギー炎症に伴う自覚症状・他覚所見が認められ、またⅠ型アレルギー反応が実際に目(結膜)で生じていることが確認されたら確実に診断することができます。
結膜でⅠ型アレルギー反応が生じていることを証明するときは、好酸球が検出されるかどうかを調べます。通常は結膜上皮や眼脂(めやに)の中には好酸球が存在しないことから、顕微鏡で好酸球が確認できれば陽性と判定し、確定診断となります。
また、簡便な迅速検査キットを用いた涙液中総IgE検査があります。この検査が陽性となれば、臨床的な確定診断となります。
アレルギー性結膜炎の治療は薬物治療が中心です。重症度に応じて薬剤が処方されますが、軽度では効果と安全性の点から抗アレルギー点眼薬や眼瞼クリームが処方されます。抗アレルギー点眼薬は、薬剤そのものは内服薬として用いられていますが、点眼薬は高濃度で眼表面に作用するうえに、抗ヒスタミン薬においても内服薬に比べて眠気などの全身に対する副作用が少なく安全性が高いといえます。小児用に特化したものはありませんが、市販後調査で小児においても安全性や効果が確認されています。
重症度が上がると経過をみながら、これらに低力価ステロイド点眼薬、春季カタルやアトピー性角結膜炎では免疫抑制薬点眼液であるタクロリムスやシクロスポリンなどの点眼が検討されます。
ステロイド点眼薬は、漫然と点眼を続けると眼圧が上昇して高眼圧から緑内障に至る危険な副作用があります。ステロイド点眼薬による眼圧上昇は薬剤の使用期間や量が長く・多くなるに従って多く認められ、錠剤などによる全身投与よりも点眼薬や眼軟膏などの局所投与で起こりやすくなります。
眼圧が上昇しても患者さんにとっては自覚症状を伴わないため、眼科で眼圧を測定しなければ見過ごされてしまう危険があります。特に小児で高頻度に起こります。低濃度でもステロイド薬の点眼中は眼圧測定ができる眼科へ定期的に通院して、高眼圧、緑内障の早期発見に努める必要があります。
アレルギー性結膜炎などに関するよくある質問をまとめています。
https://allergyportal.jp/faqcategory/%E8%8A%B1%E7%B2%89%E7%97%87%EF%BC%88%E3%82%A2%E3%83%AC%E3%83%AB%E3%82%AE%E3%83%BC%E6%80%A7%E9%BC%BB%E7%82%8E%E3%80%81%E7%B5%90%E8%86%9C%E7%82%8E%EF%BC%89/
(日本アレルギー学会Webサイトへ)
https://www.jsaweb.jp/modules/citizen_qa/index.php?content_id=7