アレルギー性鼻炎

アレルギー性鼻炎の原因や症状の特徴などを専門家の視点から解説。
薬物療法・免疫療法・手術療法に加え、鼻洗浄や粘膜の保護など日常のセルフケアのポイントがわかる記事です。

目次

アレルギー性鼻炎の特徴について

アレルギー性鼻炎は、ダニやホコリなどが原因で1年を通して鼻炎症状が認められる「通年性アレルギー性鼻炎」と、スギやヒノキの花粉などが原因で、花粉の飛散時期だけに鼻炎症状が認められる「季節性アレルギー性鼻炎(花粉症)」に分けられます。

くしゃみ、透明な水様性の鼻水、鼻づまりが特徴です。通常、私たちは鼻で息を吸うので鼻水と鼻づまりで日常生活が損なわれます。外気が乾燥していても呼吸のときに鼻を通ることで鼻の中で空気に湿度が加えられて体内に入りますが、口呼吸になると乾燥した空気がそのまま体内に入り感染症などのリスクが高まります。

アレルギー性鼻炎の症状について

アレルギー性鼻炎のくしゃみ、鼻水、鼻づまりの症状のうち、くしゃみは連続して起こり、回数が多いという特徴があります。鼻水は、かぜなどの感染症の鼻水のように粘り気があるものではなく、無色で粘り気がなくサラサラしています。鼻づまりは、鼻の粘膜が腫れることで起こります。

くしゃみや鼻水などの症状により頻繁に鼻をかむことで、粘膜を傷つけて鼻出血が起こる場合もあります。これらの症状によって、勉強や仕事、家事に集中できなかったり、よく眠れなかったり、イライラしたりするなど生活に支障が出てきます。そのため、アレルギー性鼻炎はしっかりと治療して症状をおさえることが大切です。

アレルギー性鼻炎の重症度について

症状のうち、くしゃみと鼻水は密接に関わり合っているので両者をまとめて「くしゃみ・鼻水(鼻漏)型」とし、鼻づまりが他の症状にくらべて強いときは「鼻づまり(鼻閉)型」、症状が同じくらいのときは「充全型」に分類されます。

それぞれの症状の強さから重症度を分類します。1日にくしゃみを何回したか、1日に鼻を何回かんだか、1日のどのくらいの時間口呼吸をしていたかで判定します。くしゃみや鼻をかんだ回数が20回を超える場合や鼻が1日中つまっていたら最重症です。

アレルギー性鼻炎の症状の重症度分類
鼻アレルギー診療ガイドライン2020年版より

アレルギー性鼻炎の治療について

アレルギー性鼻炎の治療には「薬物療法」、「アレルゲン免疫療法」、「手術療法」の3つがあります。また、症状の原因となるダニやスギ花粉などのアレルゲンを回避する環境整備も重要です。

薬物療法では鼻水をおさえる抗ヒスタミン薬の飲み薬や鼻の炎症をおさえる点鼻ステロイド薬、鼻づまりを改善する作用があるロイコトリエン受容体拮抗薬などが用いられます。抗ヒスタミン薬は眠気などの副作用がありますが、近年は眠気のあらわれにくい薬もあります。

アレルゲン免疫療法は、減感作療法とも呼ばれていましたが、原因となるアレルゲンを投与し、体のアレルギー反応を弱める治療です。注射ではダニ、花粉、カビなどがあり、舌下錠では、ダニとスギ花粉が日本では治療を受けることができます。治療は数年以上必要で根気のいる治療ですが、薬物療法で副作用が出るために治療が続けられない患者さんや、薬物療法だけでは症状がおさえられないような患者さんでは、アレルゲン免疫療法が考慮されます。

手術療法は、鼻の粘膜をレーザーで凝固する下鼻甲介粘膜焼灼術などがあります。薬物療法でも症状がおさえられない場合などに考慮される治療です。

アレルギー性鼻炎のケアについて

鼻の洗浄

鼻に入り込んだ花粉やホコリなどは、洗い流すのが効果的です。ただし、水道水は塩素などを含んでいて鼻の粘膜を傷つけてしまうので、体液に近い組成の市販の生理食塩水を利用してください。

鼻の粘膜の保護

繰り返して鼻をかむと鼻が荒れますので、荒れてしまったら白色ワセリンなどを塗ってください。保湿ティッシュペーパーで鼻をかむことも有用です。

室内の加湿

鼻腔に炎症があると粘膜機能が低下するので、室内を加湿して水分を補ってください。空気が乾燥しているときはマスクが有用です。

マスク・メガネ

マスクは、花粉の飛散の多いときには吸い込む花粉をおよそ3分の1から6分の1に減らし、鼻の症状を少なくさせる効果が期待されています。また、花粉症でない人も、花粉を吸い込む量を少なくすることで、新たに花粉症になる可能性を低くすることが期待されています。ただし、風が強いとマスクをしていても鼻の中に入る花粉は増えます。マスクをしていても完全防備にはならないので過信は禁物です。また、メガネをかけることで、目に飛び込む花粉の量が軽減されます。

アレルギー性鼻炎のよくある質問

アレルギー性鼻炎などに関するよくある質問をまとめています。

ステロイド薬の点鼻薬は子どもにも使ってもよいですか?

ステロイド薬の点鼻薬(鼻噴霧用ステロイド薬)は小児にも使えます。処方薬であるステロイド薬の点鼻薬(鼻噴霧用ステロイド薬)には、フルチカゾンフランカルボン酸エステル液やモメタゾンフランカルボン酸エステル水和物点鼻液など、小児に使えるものがあります。これらの薬は鼻粘膜だけに作用して、全身に影響が及ぶことはないので安全性が高く、刺激感や匂いも少ないため、小児でも使いやすい薬剤です。薬局などで購入できる市販の点鼻薬の多くは血管を収縮させる成分を含んでいて、これらの薬は使用するとすぐに鼻づまりがよくなる感じがしますが、長く使い続けると血管を収縮させる成分による「薬剤性鼻炎」を引き起こします。市販薬を使う場合は成分と対象年齢をよく確認し、なんとなく使い続けることがないようにしてください。特に2歳未満の幼児では、呼吸抑制などの副作用の危険性があるため、血管収縮薬は禁忌です。

子どもの鼻水は取ってあげたほうがよいですか?

自分で鼻がかめない幼い子どもは、保護者が鼻水を取ってあげましょう。鼻水の中にはウイルスや細菌などの病原体や炎症を引き起こす物質が含まれていることがあり、中耳炎や副鼻腔炎の原因になることがあります。特に乳児は鼻水で鼻が詰まると呼吸がうまくできません。自分で鼻がかめない場合は、保護者が吸引して取ってあげましょう。鼻水を吸引するために、さまざまな種類の器具が市販されており、やや高価ですが電動式の据え置き型の器具は効率的に吸引します。保護者が子どもの鼻を直接口で吸うことは、保護者の二次感染の危険がありますので避けてください。

ハウスダストやダニにアレルギーがあります。環境整備について教えてください。

アレルギー疾患の治療では、アレルギーの原因物質であるアレルゲンの除去や回避が大切です。ぜん息やアレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎などでは、室内アレルゲンとしてダニやカビ、動物の毛・フケなどが挙げられますが、そのなかでも特にダニ対策が重要です。ダニアレルギーの患者さんにはダニ対策を十分に行ったうえで、それでもなお症状があらわれる場合には薬物療法を行います。ここでは特に、代表的なダニ対策についてのみ述べます。ダニ対策としては、ダニの住みかとなりやすい布団に注意が必要です。布団を干して、こまめに、丁寧に掃除機をかけることが基本です。布団乾燥機も有用です。布団の丸洗いや防ダニ寝具・寝具カバーも役に立ちます。ダニ対策ではダニアレルゲンの元になるダニそのものを撃退することが大切ですが、ダニを殺すには60℃以上の熱水処理や熱風での乾燥が必要になります。布団を干すことで布団が乾燥してダニは増えにくくなりますが、生き延びたダニはすぐまた繁殖します。冷水では、ダニアレルゲンは洗い流すことができますが、生きているダニは死にません。布団の他にも床のカーペットや布製のソファー、ぬいぐるみなどにも注意が必要です。

アレルギー性鼻炎についてさらに詳しく知りたい方へ

(日本アレルギー学会Webサイトへ)
アレルギー性鼻炎/Q&A
https://www.jsaweb.jp/modules/citizen_qa/index.php?content_id=5

この記事の監修

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