ラテックスアレルギーについて詳しくはこちら
(日本アレルギー学会Webサイトへ)
https://www.jsaweb.jp/modules/citizen_qa/index.php?content_id=13
主なアレルギー疾患
天然ゴム(natural rubber latex)製品に接触することによって生じるじんましん、アナフィラキシーショック、ぜん息発作などの即時型アレルギー反応をラテックスアレルギーといいます。
天然ゴムは、手袋、カテーテル、絆創膏などの医療用具のほかに、炊事用手袋、ゴム風船、コンドームなどの日頃から接触する機会が多い日用品に含まれています。日本では「医薬品等安全性情報No.153」(1999年)により医療用具の説明書や容器・包装に、天然ゴムが使用されていることとアレルギーの症状が生じやすいことを表示することが義務づけられています。
また、ラテックスアレルギーの患者さんではバナナやアボカド、キウイフルーツ、クリなどの植物性食品のアレルギーとの関連性(交差反応性)がありますが、ラテックスアレルギーの患者さんの30~50%に、これらの食物アレルギーを発症する人がおり、「ラテックス−フルーツ症候群」と呼ばれています。
ラテックスアレルギーで最も多い症状はじんましんです。ゴム手袋を装着した部分に、かゆみや発赤、膨疹、水疱が生じます。時には全身性に広がり、アナフィラキシーショックに移行する場合もあります。アナフィラキシーショックは、手袋、歯科用デンタル・ダム、バリウム浣腸用のカフ、コンドーム、交差反応性を有する果物の摂取による例が報告されています。呼吸器の症状は、じんましんが全身に波及した場合や、手袋パウダーに付着したラテックスを吸入した場合に生じます。
米国食品医薬品局が1992年にラテックスアレルギーの注意を報告するまでに、アナフィラキシーショックによる死亡が15人、アナフィラキシーショックが1,000人以上報告されました。ラテックスアレルギーによりぜん息発作やアナフィラキシーを生じたために職場を変更せざるを得なくなった医療従事者が欧米や日本で多数報告され、訴訟に発展した事例もあります。アナフィラキシーショックによる死亡例の多くはバリウム浣腸用のカフによるものでした。
ラテックスアレルギーは、ラテックスに関連した症状について、確認することが一番重要です。また、検査としては血液検査においてラテックスに対するIgE抗体があるのか調べることができます。最近ではラテックス−フルーツ症候群を引き起こすラテックスの成分(Hev b 6.02)についてもIgE抗体を測定することが可能です。また、皮膚プリックテストや、実際にラテックスの手袋をして症状が出現するか調べる負荷テストなどもありますが、とても過敏な人では重篤な症状を誘発する恐れがありますので、これまでの病歴がはっきりしない場合や、血液検査で診断が困難な場合に、専門医が十分に安全対策をしたうえで行う検査です。
ラテックスによって生じた症状に対しての治療はアナフィラキシーの治療に準じて行います(「アナフィラキシー」の項目を参照してください)。
重症度によって異なりますが、だんだん元気がなくなっていくように見える意識障害などが認められる場合には、呼吸や心拍がゆっくりになっていっていないかどうか、皮膚の色が赤くなってきていないかどうかなどの状態を確認しながら、必要に応じて一次救命措置を行い、医療機関への搬送を急ぎます。そのうえで、足を頭より高く上げた体位で寝かせます。嘔吐してしまう場合に備えて、顔を横向きにします。
また、日頃からのラテックスアレルギーに対する対策としては、現在のところ疑わしい物質から回避することしか方法がありません。診断がつけられれば、症状が進行しないように日常生活、医療用具に注意して、医師と具体的な回避の方法を考えます。完全に除去することができれば、過敏性の改善が得られる可能性があります。最近では医療用具だけでなく日用品でも「ラテックスフリー(パウダーフリー)」の製品が増えていますので、ラテックスに感作された人はできるだけこのような製品を使用するように心がけてください。
ラテックスアレルギーが生じやすい人は、アレルゲン(天然ゴム)との接触が多く、アレルギー反応が生じやすい体質を持つ人です。すなわち、天然ゴムを含む製品に接触する機会の多い人はリスクが高くなります。
(1)医療従事者
かつては手袋など医療用具の多くに天然ゴム製品が用いられていたために発症する人が多かったのですが、最近は天然ゴム成分を含まない「ラテックスフリー(パウダーフリー)」の製品が製造されて普及するにつれて発症する人が減ってきています。
(2)アトピー体質を持つ人
アレルギー反応が生じやすい人はラテックスアレルギーが生じるリスクが高く、アトピー性皮膚炎の患者さんが多い傾向があります。また、ラテックスはバナナやアボカド、キウイフルーツ、クリ、トマト、パパイア、ポテトなどの植物性食品のアレルギーと関連性(交差反応性)があり、これらの食物アレルギーがある人も要注意です。
(3)医療対応が繰り返される人
生後間もなくからくり返し手術を受けるなど、天然ゴム製品と多く接触せざるを得ない患者さんもリスクが高い傾向がありますが、最近はラテックスフリー(パウダーフリー)製品の普及で減ってきています。
(1)まだ罹患していない人
天然ゴム製品と接触が多く、さらに本人や家族にアレルギー疾患がある人はラテックスアレルギーになりやすいので、できるだけ天然ゴム成分(ラテックス)に触れないように心がけてください。最初に述べたように医療用具には天然ゴム成分が含まれていることの表示が義務づけられていますので、治療を受けるときも医師・看護師に伝えて医療用具を選んでもらうようにします。
(2)すでにラテックスアレルギーとわかっている人・疑わしい人
一次予防と同様に、日常生活のあらゆる場面でできるだけ天然ゴムに触れないように心がけてください。職業でどうしても接触せざるを得ないときは雇用者に伝えて接触しない環境で就業できるようにしてください。自分がラテックスアレルギーであることを示す「アレルギー情報カード」などを持ち歩くことが推奨されます。さらに、ラテックスアレルギーで重い症状になったことがある人は、医師と相談してアドレナリン自己注射薬(エピペン®)や抗ヒスタミン薬を携帯してください。
ラテックスアレルギーについて詳しくはこちら
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