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職業性アレルギー疾患

職業性アレルギー疾患の特徴について

「職業性アレルギー疾患」とは、仕事をする環境で、吸い込んだり触れたりする物質(アレルゲン)が原因となり発症するアレルギーのことです。原因が、職場環境と密接に関係することから、患者さん自身が症状をがまんしてしまったり、症状が気づかれにくかったりする場合があります。治療などの対応が遅れてしまうことがあり注意が必要です。
職業性アレルギー疾患の代表的なものには以下があります。

・職業性ぜん息
職場に関連する物質を主に吸入することにより発症するぜん息のことです。

・職業性アレルギー性鼻炎
職業と関連したアレルギー性鼻炎です。職場で症状があらわれるかまたは悪化しますが、帰宅後や休日のように、職場の環境から離れると軽快します。

・職業性皮膚疾患
職場環境によって皮膚症状が起こるものを職業性皮膚疾患と呼びます。皮膚が赤くなってかゆくなったり、ブツブツができたりします。接触皮膚炎(かぶれ)、じんましん、アナフィラキシーが起きます。

・職業性アナフィラキシー
職場環境の原因物質によって起きるアナフィラキシーです。ハチ毒やラテックスによるアナフィラキシーが代表的なものです。

代表的な業務上のアレルギー関連疾病およびその関連物質を表に示します。

1)ぜん息・鼻炎 タンパク分解酵素(プロテアーゼ)、木材の粉塵、獣毛の塵埃、フッ素、塩化ビニル、アクリル樹脂などの合成樹脂、かき殻についたホヤ、マブシ、抗菌薬・アスピリン・サルファ剤などの薬剤
業務の例として:製材・木工加工、毛筆の製造、獣医、農夫、実験動物の取り扱い、薬品製造、医療業務、薬局での調剤
2)皮膚疾患・皮膚炎 (ぜん息・鼻炎の関連物質に加えて)すす(黒色印刷インキ、練炭)、鉱物油(潤滑油、電気絶縁物)、うるし、テレビン油、タール、セメント、アミン系樹脂硬化剤(接着剤、コンデンサー、塗料)、ガラス繊維、ゴム添加物

職業性アレルギーを早期に発見して対策を行うことはきわめて重要です。入社・転職、異動などでアレルギー症状があらわれるようになった場合は、職業性アレルギー疾患を疑ってアレルギー専門医に相談してください。職場環境での原因物質の除去や配置転換などで症状の悪化を防ぐことが可能となる場合が少なくありません。

職業性アレルギー疾患の症状について

症状は、働く環境や触れる物質によって異なります。以下に各疾患の代表的な症状と関連する職業、原因物質の例を示します。

症状 主な職業 主な原因物質
せき、息苦しさ
(ぜん息)
パン職人、化学工業従事者 小麦粉、ラテックス、化学物質
くしゃみ、鼻水、
鼻づまり(鼻炎)
農業、造園業、清掃業 花粉、ホコリ、カビ
皮膚のかゆみ、湿疹
(皮膚疾患)
美容師、飲食業 毛染め剤、洗剤、食品
アナフィラキシー 林業、医療従事者 ハチ毒、ラテックス

アレルギーの診療ガイドラインの普及によって、標準的な治療が浸透しています。症状がコントロールされることはよいことですが、原因物質の検索・回避がおろそかになってはいけません。職場環境におけるアレルギー疾患発症の可能性を検討することは重要です。

職業性アレルギー疾患の重症度について

アレルギー疾患はそれぞれが合併することがあるため、自身の持つアレルギーの状態を把握することが重症のアレルギー症状を予防するために必要となります。
ハチなどの昆虫やラテックスによるアレルギーは、アナフィラキシーを生じることがあるため、呼吸しづらいなどの呼吸器症状、発汗・めまいなどの神経症状、じんましんなどの皮膚症状、吐き気・嘔吐などの消化器症状の全身症状があらわれたら、直ちに適切な対応をする必要があります。アドレナリン自己注射薬(エピペン®)の使用などを含めて詳細については、「アナフィラキシー」の項を参照してください。

職業性アレルギー疾患の治療について

治療の基本は、原因物質の除去、隔離と薬物療法を組み合わせて行うことです。症状の程度によっては、職場環境の調整や異動の検討も必要になる場合があります。
職業性アレルギー疾患の治療は、それぞれのアレルギーの診療ガイドラインに準じて進められます。十分な薬物療法をはじめとした医療的な対応とともに、感作物質(アレルゲン)の回避により業務を継続できるかどうかを医師などに相談して、家族や企業の理解を求めることが重要となります。

職業性アレルギー疾患についてさらに詳しく知りたい方へ

職業性アレルギー疾患について詳しくはこちら
(日本アレルギー学会Webサイトへ)
・職業性ぜん息/Q&A 
https://www.jsaweb.jp/modules/citizen_qa/index.php?content_id=15
・職業性皮膚疾患/Q&A
https://www.jsaweb.jp/modules/citizen_qa/index.php?content_id=16
・職業性アレルギー性鼻炎/Q&A
https://www.jsaweb.jp/modules/citizen_qa/index.php?content_id=17