重症薬疹
重症薬疹・薬物アレルギーの特徴や代表的な病型、症状の進行、早期診断の重要性、治療についてアレルギー治療の専門家がわかりやすく解説します。
目次
重症薬疹の特徴について
薬疹(やくしん)は、内服薬や注射薬などの薬剤によって生じる発疹です。薬に対して反応するような細胞や抗体がある人にだけ生じるもので、薬に反応する細胞や抗体ができるには服用後1〜2週間かかり、そこで初めて発症すると考えられます。
薬疹には、原因となる薬の使用を中止することで症状が改善するものもありますが、「中毒性表皮壊死症」、「スティーブンス・ジョンソン症候群」、「薬剤性過敏症症候群」と呼ばれるアレルギー性の薬疹は、原因となった薬の使用を中止しただけではアレルギー反応が止まらずに悪化していく重症の薬疹であり、一刻も早い的確な対応が必要になります。
重症薬疹の症状について
スティーブンス・ジョンソン症候群と中毒性表皮壊死症(toxic epidermal necrolysis:TEN)は、全身の皮膚が赤くなり、擦るだけで皮膚が剥離して、ヤケドのようになる重症薬疹です。
剥がれた皮膚の面積が10%以下のものをスティーブンス・ジョンソン症候群、それ以上の面積の重症例を中毒性表皮壊死症と診断します。皮膚だけでなく目、口唇、陰部などの粘膜が傷害されるのが特徴で、初期から粘膜症状が強い場合は中毒性表皮壊死症の可能性があります。
中毒性表皮壊死症の死亡率は20~30%と考えられており本症を疑ったら一刻も早く的確な対応が必要となります。なお、スティーブンス・ジョンソン症候群の50%以上および中毒性表皮壊死症の最大95%の症例では薬剤が原因ですが、感染なども原因となり得るので、皮膚科専門医の診断が必要です。
また、薬剤性過敏症症候群(drug-induced hypersensitivity syndrome:DIHS)はウイルス(ヒトヘルペスウイルス6型と考えられています)が関与する重症薬疹です。抗てんかん薬や痛風(高尿酸血症)治療薬などの起こりやすい薬が知られており、服用してから発症までに時間がかかるのが特徴です。多くは3週間以上で平均4週間といわれ、中には1年以上過ぎてから発症することもあります。発熱と、かゆみのある紅い斑で発症することが多く、リンパ腺が腫れ、白血球が増えます。発疹は誘因となった薬を中止しただけでは反応が止まらずに悪化していく場合があります。
重症薬疹の治療について
アレルギー性の薬疹は、原因となった薬の使用を中止することが何より重要です。そのうえでステロイド薬の服用や、ステロイド薬を集中的に用いる「ステロイド・パルス療法」を進めていきます。ヒト免疫グロブリン製剤の投与も行われる場合があります。これらの治療で反応しない場合には血漿交換も行われます。
薬疹が疑われたら一刻も早く治療を開始することが重要ですので、速やかに専門の施設に救急搬送して、入院加療の必要があります。
重症薬疹のよくある質問
薬物アレルギーなどに関するよくある質問をまとめています。
これまで服用した薬と、薬を飲んだあとにあらわれた症状の関係から、薬物や添加物といった原因となる薬の原材料が推測できることもあります。まず、どの薬を飲んだあとに、どのような症状があらわれたことがあるのかなど、できるだけ詳細にメモなどをしてアレルギー専門医にご相談ください。
薬物アレルギーの検査には「血液検査(リンパ球刺激試験)」、「皮膚テスト(皮内テスト、パッチテストなど)」があります。最も確実な検査は、もう一度、原因として疑わしい薬を内服していただく「誘発試験(内服試験)」ですが、重篤なアレルギー症状が出ることもあるため、アレルギー専門医への相談が必要です。
重症薬疹についてさらに詳しく知りたい方へ
動画による解説
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