アレルギーの治療について
アレルギー治療の基本をわかりやすく紹介。症状を抑える薬物療法や炎症を抑える治療、根治を目指す免疫療法まで、特徴や進め方を専門家の視点から解説しています。
目次
アレルギーの病気の治療は、大きく分けると「症状に対する治療」と「炎症を抑える治療」、そして「免疫療法」があります。
症状に対する治療
アレルギーの症状があるときに症状を抑えるための治療です。
アレルギー性鼻炎の鼻水やくしゃみ、アトピー性皮膚炎の皮膚のかゆみなどに対しては、抗ヒスタミン薬などが使用されます。また、ぜん息では、ぜん息発作のときに気管支拡張薬が使用されます。これらは、ぜん息の症状があるときに症状を抑えるために発作止め(発作治療薬)として使用されます。
また、アナフィラキシーという重篤なアレルギーの症状がある場合は、アドレナリン自己注射薬(エピペン®)が使用されます。食物アレルギーやハチ毒アレルギーなどによってアナフィラキシーが起こる危険がある患者さんでは、緊急時にアドレナリン自己注射薬(エピペン®)を自分で注射して症状を抑えることができます(「アナフィラキシー」のページを参照してください)。

JAGL2019 p.655(相模原病院:小児科資料より)
炎症を抑える治療
アレルギーの病気の一部では、アレルギー性の炎症が起こります。たとえば、ぜん息では気管支に、アトピー性皮膚炎では皮膚に、アレルギー性鼻炎では鼻に炎症が起こります。これらの炎症に対しては、炎症を抑えるような治療を行います。炎症を抑える薬で一番使用されているのが「ステロイド」と呼ばれる「副腎皮質ホルモン」の薬です。ステロイド薬は内服や注射の場合は、長期間継続すると全身にさまざまな副作用が出現します。そのため、アレルギーの病気では、吸入薬や外用薬、鼻噴霧用薬など、その炎症のある場所にだけ効果が得られるように工夫されています。これらの薬は適切な使用では全身的な副作用はほとんどありません。

免疫療法(アレルゲン免疫療法)

アレルゲン免疫療法は、アレルギーの原因となるアレルギー物質(アレルゲン)をごく少量ずつ投与することで、アレルゲンに対して体が反応しないようにするための治療で、以前は「減感作療法」とも呼ばれていました。この治療は症状に対する治療や炎症を抑える治療とは異なり、アレルゲンに対して体に反応が生じにくくする治療で、アレルギーの治療法の中では根治(治癒)を目指す唯一の治療とされています。たとえば、ダニがぜん息やアレルギー性鼻炎の悪化因子である場合には、ダニのアレルゲン免疫療法によって、両方の病気の症状が改善することが期待できます。
アレルゲン免疫療法に用いられる主な薬には現在、注射製剤と舌下製剤があります。注射製剤を使用できるアレルゲンにはダニ、花粉、カビなどがあり、舌下製剤には日本ではダニとスギ花粉があります。舌下製剤による治療は、日本ではアレルギー性鼻炎に対してのみ保険適用となっています。
アレルゲン免疫療法によって症状が緩和されると、症状に対する治療や炎症を抑える治療を減量、中止することができる可能性があります。特に、これらの治療薬で副作用があらわれやすい患者さんが適していると考えられます。
しかし、ごく少量といっても病気の原因となるアレルギー物質を投与するとアレルギー反応が出現する可能性があるため、必ず医師の指導により適切に治療を行う必要性があります。
また、アレルゲン免疫療法は、注射治療では維持期には月に1回、舌下治療の場合は毎日治療が必要であり、治療期間も2年以上(3〜5年が推奨)必要になります。アレルゲン免疫療法については、日本アレルギー学会認定専門医など、アレルギー疾患の治療に精通した医師にご相談ください。

アレルギー治療のよくある質問
受診後、忘れないうちにメモをとり、何がわからなかったのかについて、たとえばA4判1枚以内で簡潔にまとめておくことがコツです。このメモをもとに、次回の診察時などに主治医へ聞いてみましょう。主治医との時間がとれない場合は、薬剤師や看護師に聞いてみるのもよいでしょう。
まず、情報源が確かなのかどうかを判断しましょう。たとえば、消費者庁が認可する特定用途食品にはアレルゲン除去食品があり、上手に活用すれば生活の質の向上が期待できます。仮に信頼できる情報だとしても、医師による治療や指導を補助する程度の情報であるとお考えください。医師は科学的な根拠に基づいて治療を進めていますので、情報を得た時点で医師に尋ねてみてください。