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よくある質問

アレルギーに関する
質問をまとめています。

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食物アレルギー

食物アレルギーは血液検査で診断できますか?

血液検査だけでは食物アレルギーを診断することはできません。
食物アレルギーの診断は、原則として、①原因と考えられる食べ物を食べることでアレルギー症状が誘発されること、②その食べ物に対して感作されていることの両方で診断します。
血液検査では、特定の食べ物に感作されているかどうかを食物特異的IgE抗体検査で確認することができますが、特異的IgE抗体が確認されなければアレルギーの可能性は非常に低くなります。数値が高いほど食物アレルギーである可能性は高まりますが、それでも100%ではありません。検査する食べ物の種類、調理方法、年齢などによって検査結果の解釈が異なります。(参考:「小児アレルギー疾患保健指導の手引き」より)

食物アレルギーと診断された乳児に授乳中の母親は食物除去すべきですか?

湿疹は、スキンケアなどできちんと対応できていれば、授乳中の母親も乳児の原因食物の除去が必要となることは少なく、除去が必要な場合でも多くは短期間で解除できます。母乳栄養や混合栄養では、湿疹があるような一部の乳児で母親の食事内容が食物アレルギーの症状と関連していることもあるために、母親の食物除去が必要となることがありますが、乳児により除去範囲は異なり、この場合も多くは短期間で解除できます。
パンやお菓子などの加工品は食べてよいことが多く、また乳児が離乳食を開始するころには解除できることが多いのですが、過剰な・長期的な食物除去をしている場合があります。医師に除去の必要性を確認してもらいましょう。(参考:「小児アレルギー疾患保健指導の手引き」より)

鶏卵アレルギーですが、予防接種は受けてよいですか?

通常通り、予防接種を受けて大丈夫です。
鶏卵と関連性があるとされる3つのワクチンの中で、麻しん(はしか)風しん混合ワクチンであるMRワクチンと、おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)のワクチンであるムンプスワクチンは、いずれもワクチンを製造する過程で使用されるのはニワトリの胚細胞であり、一般的な卵アレルギーの反応が生じる鶏卵タンパク質は含まれていないので安心して接種を受けることができます。
また、インフルエンザワクチンは製造する過程で有精卵が使われ、日本製のワクチンでは1mLあたり数ng(ナノグラム)の鶏卵タンパク質が混入している可能性がありますが、通常通りに接種して重篤な反応が生じる可能性はきわめて低いレベルですので、医師に相談してワクチン接種を受けてください。(参考:「小児アレルギー疾患保健指導の手引き」より)

食物アレルギーで医師から除去食を指示されましたが、栄養面は大丈夫ですか?

多くの品目の食物除去が必要な場合には、限られたメニューになるために栄養素が偏りがちになり、栄養不良になることがあります。特に、牛乳を除去することによりカルシウムが不足しがちです。意識してカルシウムを摂取しないと、本来であれば必要な量の半分も充足されていないことがあります。牛乳だけでなく、食物除去をするように指示を受けたら、除去する食材に含まれる栄養素を補うための食べ物(代替食)を積極的に摂取する必要があります。(参考:「小児アレルギー疾患保健指導の手引き」より)

食物経口負荷試験はどこで受けることができますか?

全国の主な実施医療機関は、「食物アレルギー研究会」ホームページから検索することができます(https://www.foodallergy.jp/ofc/)。食物経口負荷試験を実施する施設の状況は地域によって異なりますので、あらかじめ情報を集めておきましょう。(参考:「小児アレルギー疾患保健指導の手引き」より)

食物アレルギーと診断されて原因食物の除去を指示されましたが、どのように離乳食を進めたらよいですか?

食物アレルギーがあるからといっても、原因となる食べ物以外の離乳食開始の時期を遅らせる必要はありません。医師から指示された原因となる食べ物を除去しながら、通常通りに離乳食を進めましょう。食べ物を除去することにより栄養状態が悪化しないように、必要な栄養素を含む他の食品をバランスよく食べるようにしましょう。(参考:「小児アレルギー疾患保健指導の手引き」より)

鶏卵や牛乳の食物アレルギーがあっても卵殻カルシウムや乳糖は食べても大丈夫ですか?

卵殻カルシウムにはほとんどタンパク質を含んでいませんので、加熱した状態(焼成)でも、加熱しない状態(未焼成)でも、ともに摂取することができます。乳糖には、1gあたり数μg(マイクログラム)のタンパク質が含まれる場合があり、重症の牛乳アレルギーのごく一部にわずかな軽い反応を示すことがありますが、ほとんどの牛乳アレルギーでは問題ありません。(参考:「小児アレルギー疾患保健指導の手引き」より)

食物経口負荷試験ではどんなことをするのですか?

「食物経口負荷試験(しょくもつけいこうふかしけん)」は、該当する食べ物を複数回に分割して、症状の誘発がないことを確認したうえで、徐々に量を増やしながら摂取することで、アレルギー症状の有無や、どの程度の量でどれくらいの重症度の症状があらわれるかを確認します。
食物経口負荷試験の結果によって、該当する食べ物の除去を継続するか、どの程度の量が摂取できるかなどの指導を受けることができます。(参考:「小児アレルギー疾患保健指導の手引き」より)

食物アレルギーではどのようなときにアレルギー専門の医療機関を受診すればよいですか?

乳児の湿疹が治りにくい場合や、複数の食べ物の除去が必要となる場合、原因となる食べ物の診断が難しい場合、そして原因不明のアナフィラキシーを繰り返すような場合には、アレルギー専門の医療機関で調べてもらう必要があります。
食物アレルギーを正確に診断して、原因となる食べ物の適切な除去・解除を進めるためには、「食物経口負荷試験(しょくもつけいこうふかしけん)」を行っている医療機関を受診する必要があります。(参考:「小児アレルギー疾患保健指導の手引き」より)

食物アレルギーの食物除去を解除していくにはどのようにすればよいですか?

原因となる食べ物の除去を解除するときには、食物経口負荷試験を受けて、安全に食べられる量を確認したうえで、医師が判断して進めていきます。1度だけではなく、繰り返し食物経口負荷試験を実施して、食べられる量を段階的に徐々に増やしながら除去解除を目指します。(参考:「小児アレルギー疾患保健指導の手引き」より)

食物アレルギーの幼稚園・保育所(園)・学校での対応について教えてください。

幼稚園・保育所(園)や学校には、子どもの食物アレルギーの情報を具体的に知らせるために、医師が記載した「生活管理指導表」を提出します。
施設では食物アレルギーの子どもにも給食を提供することを基本としていますが、子どもの重症度や、受け入れる施設の状況によって食物アレルギーへの対応は異なります。
アレルギー症状への具体的な対応については、医師とよく相談した上で、幼稚園・保育所(園)や学校に依頼する必要があります。(参考:「小児アレルギー疾患保健指導の手引き」より)

食物アレルギーの症状(アナフィラキシー症状を含む)があらわれたときの対応を教えてください。

食物アレルギーでは、原因となる食べ物を摂取すると全身にさまざまな症状があらわれます。食物アレルギーの症状には、皮膚症状(蕁麻疹、発赤など)や口腔内症状(口の中が痒い・イガイガするなど)の軽い症状から、消化器症状(吐き気、嘔吐、下痢、腹痛など)や、呼吸器症状(咳、ゼーゼーする呼吸、呼吸困難、声がかすれるなど)、全身症状(ぐったり、意識もうろう、唇や爪が青白いなど)があります。
症状が出現する時間は、原因となる食べ物を摂取して数分以内から数時間後まで幅広く、症状の進み方もさまざまです。
症状のなかでも、声がかすれるなどの呼吸器症状は、空気の通り道が浮腫(むくみ)で狭くなっていく危険性があります。このような緊急性が高い症状(アナフィラキシー症状)があらわれたら、すぐに救急車を呼び、さらにアドレナリン自己注射薬(エピペン®)を携帯しているときには迷わず速やかに使用します。(参考:「小児アレルギー疾患保健指導の手引き」より)

鶏卵アレルギーといわれています。ウズラの卵も除去が必要ですか。

鶏卵とウズラの卵には交差反応性がありますので、鶏卵と同様の対応が必要です。

「仮性アレルゲン」とはなんですか。

食べ物の中に含まれるヒスタミンやセロトニン、アセチルコリンなどが原因で、じんましんなどのアレルギーのような症状を引き起こします。これは、通常の食物アレルギーとは違い、誰でも生じる可能性があります。例えば、ヒスタミンを多く含む食品はタケノコ、ナス、ほうれん草などがあり、アセチルコリンを多く含む食品にはトマトなどがあります。

リンゴアレルギーの人は、リンゴジュースやリンゴ酢は食べることができませんか。

リンゴアレルギーには、リンゴそのものにアレルギーがあるときと、花粉症と関連の「口腔アレルギー症候群」としての症状があります。シラカバ(シラカンバ)、ハンノキアレルギーに関連する口腔アレルギーでは、リンゴなどバラ科の果物の生を食べると症状が出て、加熱したものでは大丈夫なことがあります。加熱調理などにより抗原性が変化して、ジャムやソース、濃縮還元のジュースは大丈夫になることが多いのです。しかし、濃縮還元でないストレート果汁のものは症状が出ます。お酢は、醸造過程でアミノ酸まで分解されていて大丈夫になる場合があります。ただし、アレルギー症状には個人差がありますので、主治医の先生とご相談ください。

パンなどの小麦を原料とする食品は食べることができていますが、アレルギー検査(特異的IgE抗体検査)で小麦が陽性といわれました。今後は小麦を除去したようがよいでしょうか。

もともと食べていて症状が出ない場合には摂取しても問題ありませんが、食べたことがない食物を食べる場合はアレルギー症状が出る可能性がありますので、アレルギー専門医への相談が必要です。

牛乳アレルギーの人は、乳化剤は除去が必要ですか。

乳化剤とは、水と油を混合してクリーム状にするものであり、牛乳ではありません。主に卵黄、大豆、牛脂などから作られます。除去は必要ありません。

私は高校1年生です。中学生のときから、運動したときに目が腫れることがあり、食物依存性運動誘発アナフィラキシーではないかといわれています。どこで検査を受けることができますか。

食物依存性運動誘発アナフィラキシーは、特定の食物摂取後の運動によってアナフィラキシーが誘発される疾患です。診断のためには「食物+運動負荷試験」がありますが、重篤なアナフィラキシーを生じる可能性がありますので、経験が豊富なアレルギー専門施設での実施が望ましいと思われます。

乳糖不耐症はアレルギーですか。

乳糖不耐症はアレルギーではありません。牛乳などには乳糖が多く含まれています。特に成人では、乳糖を十分に消化できず、下痢などの症状を引き起こすことがあり、乳糖不耐症と呼んでいます。これは免疫を介するアレルギー反応ではないため、アレルギーとは言いません。

血中食物抗原特異的IgG抗体検査とはどのような検査ですか。

保険診療外でそのような検査がありますが、米国や欧州、日本アレルギー学会および日本小児アレルギー学会では、食物アレルギーにおけるIgG抗体検査は診断のときの有用性を公式に否定しています。その理由として、①食物抗原特異的IgG抗体は食物アレルギーのない健常な人にも存在する抗体であること、②食物アレルギーを確定診断する食物経口負荷試験の結果と一致しないこと、③血清中のIgG抗体のレベルは単に食物の摂取量に比例しているだけであること、よって④血中食物抗原特異的IgG抗体検査結果を根拠として原因食品を診断して、陽性の場合に食物除去を指導してしまうと原因ではない食品まで除去しなければならなくなり、多品目に及ぶ場合は健康被害を招くおそれもあるから、とされています。

アニサキスアレルギーとはどのようなアレルギーですか。

アニサキスは、主にクジラやイルカなど海に住む哺乳動物の寄生虫の一種です。クジラやイルカといった生き物の体内から出された卵から生まれた幼虫はオキアミなどに寄生をして、次にそれを食べたサバ、アジ、サンマ、カツオ、イワシ、サケ、イカなどの魚介類に寄生します。最後にそれらの魚やイカなどをクジラやイルカが捕食するというサイクルが繰り返されます。私たちが魚を食べて口にする可能性があるその幼虫(アニサキス幼虫)は、長さ2~3cm、幅は0.5~1mmくらいで、白色の少し太い糸のように見えます。通常、非加熱の魚を摂取の際に、アニサキスが体内に入ることで生じるアニサキス症とは違い、アニサキスのタンパク成分に対するアレルギー反応によって、全身に症状を引き起こします。診断は血液検査などによって行います。

食物アレルギーにならないために、離乳食を開始するのを遅らせるほうがよいでしょうか。

食物アレルギーの発症予防を目的として離乳食の開始を遅らせることは推奨されていません。過去には、食物アレルギーになりやすい食品の摂取開始を遅らせることが望ましいと考えられた時期がありましたが、離乳食の開始を遅らせることで食物アレルギーの発症が予防できるという十分な証拠はありません。しかし、湿疹がある子どもでは、食物アレルギーの発症リスクが高いことが知られています。この場合もむやみに摂取開始を遅らせるのではなく、医療機関を受診して皮膚症状の改善を行い、離乳食の開始について相談しましょう。(参考:「小児アレルギー疾患保健指導の手引き」より)

母乳栄養のほうが粉ミルクなどよりもアレルギー疾患になりにくいでしょうか。

母乳には多くのメリットがありますが、母乳栄養のほうが粉ミルクなどよりも子どもがアレルギーになりにくいかどうかははっきりわかっていません。母乳栄養によって子どものアレルギー疾患の発症を予防する効果を報告した研究がある一方で、母乳がアレルギー疾患の発症リスクとなる可能性を報告したものもあり、結論は出ていません。母乳には多くの有益性があるものの、子どものアレルギー疾患の発症予防のためという点では、母乳栄養に過度にこだわる必要はないと考えられます。(参考:「小児アレルギー疾患保健指導の手引き」より)

妊娠中の食事で、生まれてくる子どものアレルギー疾患の予防のためによい食べ物はありますか。

子どものアレルギーを減らすために強く勧めることができる食事はありません。特定の食物を摂りすぎたり、避けたりすることなく、バランスのよい食事をこころがけましょう。(参考:「小児アレルギー疾患保健指導の手引き」より)

卵などのように食物アレルギーになりやすいものは、妊娠中や授乳中は食べるのを避けたほうがよいでしょうか。

妊娠中や授乳中には、母親が特定の食べ物を避けることはせずに、バランスのよい食事を心がけてください。複数の研究結果から、妊娠中や授乳中の食事制限は子どものアレルギー疾患の発症を予防する効果がないことが示されています。さらに、過度な食事制限は、胎児や乳児の発育に悪影響を及ぼす可能性があることも指摘されています。その一方で、妊娠中に特定の食物を過剰に摂取することは、生まれてくる子どもの食物アレルギーの発症を促進する可能性があることも指摘されています。(参考:「小児アレルギー疾患保健指導の手引き」より)

食物アレルギーによる症状には、どのようなものがありますか。

約90%に皮膚症状が、約30%に呼吸器症状や粘膜症状があらわれます。食後2時間以内にあらわれることが多く、複数の臓器に症状があらわれた状態をアナフィラキシーと呼びます。さらに血圧低下や意識障害を伴った状態をアナフィラキシーショックと呼びます。アナフィラキシーやアナフィラキシーショックは生命に関わる危険な状態であり、アドレナリン自己注射薬(商品名:エピペン)の使用や救急搬送など迅速な対応が求められます。

原因になりやすい食物を妊娠中から制限することや、出産後も母乳への影響を考慮して制限することは有効ですか。

どちらも有効性が証明されておらず、勧めることはできません。偏った食事は栄養障害をきたすおそれもあるので、医師の指示に従って、できれば栄養士の指導も受けてバランスのよい食事を心がけましょう。

原因になりやすい食物はあるのですか。

卵(鶏卵)や牛乳、小麦が多いことが知られています。魚介類(魚卵を含む)、ピーナッツや果物類、そば、甲殻類(えび・かに)なども原因になりやすく、そのなりやすさは年齢とともに変わる傾向にあります。これらの食物を材料として用いた加工食品も原因となるので、発症した人が食事をする際は、食品表示を見て確認するようにしてください。

食物アレルギーと食中毒の違いは何ですか。

食物アレルギーは免疫がかかわる病気であり、多くは食物の成分として含まれているタンパク質が原因となります。一方、食中毒は、食物に付着したウイルスや細菌のほか、毒キノコなど、本来、食べてはいけないものに含まれた毒などが原因で生じる病気であり、免疫はかかわりません。