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よくある質問

アレルギーに関する
質問をまとめています。

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アレルギーを知ろう! / Q&A

ぜん息

「ゼーゼー・ヒューヒュー」(ぜん鳴)したらぜん息ですか?

1回の「ゼーゼー・ヒューヒュー」だけではぜん息の診断はできません。乳幼児は、年長児と比較して気管支が細くて、痰などの分泌物の量も多いため、呼吸器感染症(急性気管支炎や急性細気管支炎など)でもぜん息と同様に「ゼーゼー・ヒューヒュー」が起きることがあり、ぜん息と診断することは簡単ではありません。かぜをひいたときなどに胸のあたりから「ゼーゼー・ヒューヒュー」という音が聞こえたり、息をするのが苦しそうになったりすることが3回以上起きたことがある、あるいは症状が気管支拡張薬の吸入で改善する場合には「乳幼児ぜん息」と診断されます。また、ぜん息の長期管理薬(ロイコトリエン受容体拮抗薬や吸入ステロイド薬)を1か月くらい服薬して、効果のあらわれ方で判断する場合もあります(「診断的治療」といいます)。

ぜん息が増悪する因子には何がありますか?

ぜん息の増悪因子はさまざまなものがあります。主なものは、①吸入アレルゲン(ダニやペットの毛、カビなどの室内アレルゲン)、②呼吸器感染症(RSウイルスやインフルエンザなどのウイルス感染、③空気汚染(たばこや線香などの煙、PM2.5や黄砂など)が代表的です。他にも悪天候や激しい運動、過換気、ストレスなども増悪因子となります。

急性増悪(発作)時の受診のタイミングについて。

急性増悪(発作)は、軽度なものから重篤なものまでさまざまです。「強いぜん息発作のサイン」(下段)に注目して、いずれかのサインがある場合にはすぐに受診しましょう。特に強い呼吸困難や意識レベルの低下(意識低下あるいは過度な興奮)があるときには救急隊の要請をします。「気管支拡張薬の吸入薬や内服の効果が不十分」、「苦しくて眠れない」、「気管支拡張薬が手元にない」などのときは受診してください。「強いぜん息発作のサイン」がなく、手元に気管支拡張薬(吸入薬や内服薬)がある場合は、使用して症状が改善したら自宅で様子を見ます。

乳幼児の「強いぜん息発作のサイン」
・唇や爪の色が白っぽい
・苦しくて話せない
・息を吐くほうが吸うよりも明らかに時間がかかる
・歩けない
・ボーッとしている(意識がはっきりしない)
・咳が激しい(嘔吐することがある)
・ぜん鳴が著明(時に減弱)
・胸の骨の上、鎖骨の上、ろっ骨とろっ骨の間(肋間)がくぼむ
・呼吸が速い(頻呼吸)
・息を吸うときに鼻の穴をひろげて空気を取り込もうとする(鼻翼呼吸)
・息を吸うときに胸がくぼみ、腹だけがふくらむ(シーソー呼吸)
・抱かれているほうが楽(起坐呼吸)
・横になれない、寝ない(または、眠れない)
・顔などの皮膚や粘膜が青紫色になる(チアノーゼ)
・いかにも苦しそうに「うーうー」という(呻吟)
・脈が速い(頻脈)
・機嫌が悪い
・泣き叫ぶ(興奮)
・呼びかけに反応しない、ぐったりしている(意識レベルの低下)
(『小児気管支喘息治療・管理ガイドライン2023』より補足して引用)

子どもの頃にぜん息と診断されましたが、その後は落ち着いていました。しかし、40歳を過ぎてから、調子が悪くなってしまいました。現在は年に数回ほど症状が出るだけですが、どうしたらよいでしょうか。

病院やクリニックで呼吸機能検査などにより現在のぜん息の状態について調べて、治療が必要かどうかなどを検討する必要があります。アレルギー専門医に相談することをお勧めします。

80歳の女性です。できれば薬を飲みたくありません。薬を飲まないでぜん息の治療をする方法はないでしょうか。

現在では、ぜん息の薬は飲み薬だけではなく、吸入する薬や貼り薬などさまざまな形の薬があります。かかりつけ医の先生に相談してください。

ぜん息のコントロールが不十分な状態とはどのような状況でしょうか?

コントロールが不十分な状態とは、咳などの軽い症状であってもぜん息症状がしばしばみられ、気管支拡張薬を使用したり、日常生活に支障をきたしたりしている状態です。ぜん息の「コントロールが良好」とは、ぜん息の症状がなく、運動など日常の生活が普通にできることであり、このような状態を維持することが大切です。

8歳の子どもの親です。ぜん息と診断されて薬を毎日使用しています。週に1回くらいはゼーゼーするのですが、治療はこのままでよいのでしょうか。

週に1回くらい症状が出るのは、ぜん息がうまくコントロールされていない可能性があります。主治医の先生にどのような症状がどのくらいの頻度であらわれるのかなどを伝えて、現在の治療の進め方について相談してください。ご自宅でのぜん息の状態を把握するために「ぜん息日誌」に症状の種類やピークフロー値を記録しておくと、医師との情報の共有にも役立ちます。「ぜん息日誌」はアレルギーポータルでもダウンロードすることができますのでご活用ください。

ぜん息といわれたのですが水泳は始めたほうがよいですか?

水泳は、重症ぜん息の子どもでも急性増悪(発作)が起きにくい運動であり、呼吸法を習得することや、筋力の増強効果も見込まれます。しかし、水泳のみでぜん息が治ることはありません。急性増悪(発作)が起きにくい体力づくりのために、ぜん息患者が運動をすることが勧められています。水泳は陸上競技と異なって、①湿度が高い環境下での運動で、②水泳中には過呼吸が起きにくく、③運動による気道からの熱ロス・水分ロスが少ないため、重症患者であっても発作が起きにくい運動です。しかし、最近ではプールに含まれる塩素の影響を心配する声もあります。水泳のみにこだわらず、本人が楽しんで続けられる運動をするのがよいでしょう。

水泳(ベビースイミングを含む)がぜん息の予防によいと聞きましたが、本当でしょうか。

水泳(ベビースイミングを含む)によってぜん息を予防することができるかどうかはわかっていません。水泳(ベビースイミングを含む)によるぜん息の発症予防効果の可能性を示した報告もありますが、その一方で、発症リスクとなる可能性を報告したものもあります。現時点では、水泳によるぜん息の発症予防効果は明らかではありません。(参考:「小児アレルギー疾患保健指導の手引き」より)

走るといつも咳込むのですが運動しないほうがよいでしょうか?

運動をすると咳が出る人は「運動誘発ぜん息」の可能性があるので、医師に相談して、症状なく運動ができるように必要な治療を受けましょう。適度の運動は体力づくりに欠かせません。すでにぜん息の治療が開始されていても運動時の症状を繰り返す場合は、ぜん息のコントロールが不十分ということですので、治療法の変更などの対応が必要です。かかりつけ医に相談してください。まだ、ぜん息の診断を受けていない場合には、ぜん息であるかどうか、他の病気かどうかを確認する必要があるので、医療機関で受診しましょう。

自動車の交通量が多い道路の近くに住んでいますが、ぜん息にならないためには交通量の少ないところに引っ越したほうがよいですか。

大気汚染がぜん息の発症因子や増悪因子になることは多くの研究によって明らかですが、だからといって排気ガスなどの少ないところに引っ越すことで、ぜん息の発症が予防できるかどうかはわかっていません。過去に深刻な大気汚染によりぜん息などの呼吸器疾患を中心に多くの健康被害がもたらされましたが、現代は大気汚染の対策が進み、住宅環境など私たちの生活環境も大きく変化しましたので、交通量の少ないところへの引っ越しがぜん息発症の予防になるという十分な根拠はありません。(参考:「小児アレルギー疾患保健指導の手引き」より)

ハウスダストやダニにアレルギーがあります。環境整備について教えてください。

アレルギー疾患の治療では、アレルギーの原因物質であるアレルゲンの除去や回避が大切です。ぜん息やアレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎などでは、室内アレルゲンとしてダニやカビ、動物の毛・フケなどが挙げられますが、そのなかでも特にダニ対策が重要です。ダニアレルギーの患者さんにはダニ対策を十分に行ったうえで、それでもなお症状があらわれる場合には薬物療法を行います。ここでは特に、代表的なダニ対策についてのみ述べます。
ダニ対策としては、ダニの住みかとなりやすい布団に注意が必要です。布団を干して、こまめに、丁寧に掃除機をかけることが基本です。布団乾燥機も有用です。布団の丸洗いや防ダニ寝具・寝具カバーも役に立ちます。ダニ対策ではダニアレルゲンの元になるダニそのものを撃退することが大切ですが、ダニを殺すには60℃以上の熱水処理や熱風での乾燥が必要になります。布団を干すことで布団が乾燥してダニは増えにくくなりますが、生き延びたダニはすぐまた繁殖します。冷水では、ダニアレルゲンは洗い流すことができますが、生きているダニは死にません。布団の他にも床のカーペットや布製のソファー、ぬいぐるみなどにも注意が必要です。

ダニに対する具体的な対策にはどのようなものがありますか?

ダニ対策の基本は掃除機の使用と寝具の管理です。主な吸入アレルゲンであるチリダニ(ヒョウヒダニ)は、寝具やソファー、じゅうたんなどに多く生息し、エサとなるのは人のアカやフケです。ダニは生体だけでなく、死がいやフンもアレルゲンとなるため、十分な対応をしましょう。まずは、掃除機をこまめに丁寧にかけることが重要です。床だけではなくダニが繁殖しやすい布団などの寝具の対策として、掃除機がけや布団乾燥機を使用したり、室内の湿度を下げたりすることも効果的です。

ぜん息といわれたのですがペットを飼ってもよいですか?

毛のあるペットの飼育はお勧めできません。動物の毛やフケはアレルゲンとなり、ぜん息の悪化因子になる可能性があります。飼い始めたときは問題がなくても、飼ってから数年後にアレルギー症状が出ることもあるので、ぜん息と診断されている患者さんの場合は、新たに毛のあるペットを飼育することは控えるべきでしょう。すでにペットとの接触で症状が悪化している場合は、ペットを手放すことが望ましいですが、すぐに手放すことができない場合には、ペットを寝室に入れない、屋外で飼育する、定期的に洗うなど、実施することが可能な対策から始めましょう。

ペットを飼うとアレルギーになりやすいですか。

毛のあるペットを飼うことで新たに感作されて、アレルギー症状があらわれてくることは十分に考えられます。動物と接触することで、アレルギー症状〔ぜん息の急性増悪(発作)やアレルギー性鼻炎など〕が起きることがあります。これまでペットのアレルゲンに感作されていなくても、飼育を始めることで新たに感作されて、アレルギー症状があらわれてくることがありますので、家族にアレルギー疾患がある人は、犬、猫、ハムスターなどの毛のある動物を新たに飼育するのは避けるほうがよいでしょう。(参考:「小児アレルギー疾患保健指導の手引き」より)