「アレルギー対策」のアイコン

アレルギー対策

主なアレルギー疾患対策

「アレルギー対策」のイメージ 「アレルギー対策」のイメージ

花粉症(アレルギー性鼻炎・アレルギー性結膜炎)

症状が軽いうちに治療を始めるメリットなどを解説しています。

1.花粉症の特徴

鼻と目は近いところにあり、同じ花粉が原因となってアレルギー症状があらわれるため、アレルギー性鼻炎とアレルギー性結膜炎の自己管理を一緒に解説します。
目はアレルギー反応があらわれやすい場所です。粘膜が外気に接しているために花粉が入りやすいこと、アレルゲンのタンパク質が涙で溶かされやすいこと、また結膜にはアレルギー反応を引き起こす免疫細胞が多くあるうえに血管が集まっているため、炎症細胞が多く集まりやすいという特徴があります。そのため、花粉が侵入すると目が充血して、アレルギー反応で産生されたヒスタミンなどが神経を刺激してかゆみが生じます。
一方、鼻は呼吸により外気にある花粉を吸い込みやすく、侵入してすぐに粘膜でアレルギー反応が生じやすいという特徴があります。花粉が侵入するとすぐにアレルギー反応で産生されたヒスタミンなどが神経を刺激してくしゃみや鼻水があらわれ、鼻で吸収されなかったアレルゲンが鼻の奥から喉(のど)に流れ込んで咳やかゆみが生じます。花粉が繰り返し侵入すると、血管が拡張して血管からの水分の放出により腫れて鼻づまりが生じます。

2.花粉症の治療の進め方

症状があらわれる時期や重症度は人によりさまざまで、わずかに花粉が飛び始めるとすぐに症状があらわれる人もいれば、たくさん飛ばないと症状があらわれない人もいます。症状も、すぐに重い症状があらわれる人も軽い症状で推移する人もいます。例年に比べて10倍の花粉が飛散しても症状が10倍重くなることはありませんが、一般に花粉飛散量が多くなると花粉症になる重症の人が多くなります。
花粉症は、一般に症状が悪化すると薬の効果が得られにくくなりますので、症状が軽いうちに症状を抑える薬を使い始める「初期療法」が勧められています。初期療法とは、抗アレルギー点眼薬を花粉飛散予測日の2週間程度前か、もしくは花粉症の症状が少しでもあらわれた時点で使用を開始します。早めに薬を使用することで花粉の飛散量が多くなった時期でも症状をコントロールしやすくなり、症状を抑えた状態でシーズンを送ることができます。

3.花粉症の原因

花粉症の約70%はスギ花粉症だと考えられています。これはわが国には全国の森林の18%、国土の12%をスギが占めているためでもあり、関東や東海地方ではスギが中心になります。また、関西ではスギと並んでヒノキも植林されており、ヒノキも要注意です。一方、北海道にはスギやヒノキが少なくシラカンバ属(カバノキ科)が多いという特徴があり、沖縄にはスギがありません。

4.花粉の飛散時期

スギは年初から飛び始めて3月にピークを迎えて5月くらいまで飛散します。ヒノキはスギよりも若干遅れて飛び始めて4月にピークを迎えて6月くらいまで飛散します。北海道ではシラカンバ属の飛散が5~6月にピークを迎えます。また、イネ科は北海道で6~9月に飛散しますが、本州以西ではほぼ1年を通して飛散し、秋の花粉として知られるキク科のブタクサ属・ヨモギ属、クワ科のカナムグラは8~10月に飛散します。飛散時期や量は地域により異なりますので、花粉情報を参考にしてください。

5.花粉症の治療薬

◎鼻の症状に対して

メディエーター遊離抑制薬や抗ヒスタミン薬の点眼薬が用いられます。花粉飛散量が増えて症状が悪化するような場合には、抗アレルギー薬や抗ヒスタミン薬の経口薬や鼻噴霧用ステロイド薬が用いられます。近年では、根治を目指すアレルゲン免疫療法(舌下法・注射法)を用いる場合が多くなってきました。さらに重症な場合には、手術療法や治療薬として経口ステロイド薬を加える場合もあります。

◎目の症状に対して

花粉に曝露して生じる各種の化学伝達物質(メディエーター)に対するメディエーター遊離抑制薬や、特に目の症状抗ヒスタミン薬の点眼薬が用いられます。花粉飛散量が増えて症状が悪化してきたら、目のアレルギー性炎症に対して点眼ステロイド薬を用いる場合があります。点眼ステロイド薬を用いる場合は眼圧上昇などの副作用を確認するために定期的に検査します。

6.目や鼻のケア

◎花粉症における鼻のケア

  • ・鼻の洗浄:鼻に入り込んだ花粉やホコリなどは、洗い流すのが効果的です。ただし、水道水は塩素などを含んでいて鼻の粘膜を傷つけてしまうので、体液に近い組成の市販の生理食塩水を利用してください。
  • ・鼻の粘膜の保護:繰り返して鼻をかむと鼻が荒れますので、荒れてしまったら白色ワセリンなどを塗ってください。保湿ティッシュペーパーで鼻をかむことも有用です。
  • ・室内の加湿:鼻腔に炎症があると粘膜機能が低下するので、室内を加湿して水分を補ってください。空気が乾燥しているときはマスクが有用です。

◎花粉症における目のケア

  • ・目の洗浄:花粉やホコリなどの異物は、洗い流すのが効果的です。ただし、目は表面が涙で守られており、水道水で目を洗うことで細胞が傷つくことがあり、また涙も洗い流してしまうので、市販の人工涙液を利用してください。
  • ・目の疲労の回避:長時間にわたりTVを見続けることやパソコンで作業を続けることは目に負担をかけてドライアイなどの原因になるだけでなく、めまいや頭痛、睡眠障害などの心身に健康障害があらわれるVDT症候群(visual display terminal syndrome)を招いてしまいます。目から画面(モニター)まで50cmくらい離すようにして、1時間見続けたら15分間程度の休憩を設けてストレッチなどで身体をほぐすようにしましょう。また、目に炎症があるときはそれだけで目に負担をかけるので、コンタクトレンズの使用を控えてメガネをかけ、意識的に目を休めてください。目に限りませんが、規則的な生活を送って十分な睡眠とバランスの良い食事を心がけてください。

7.花粉飛散時の外出時の注意

  • ・花粉情報:最近は花粉飛散時期にはインターネットやTV・ラジオのニュースで花粉飛散予測が報じられます。外出せざるを得ないときには事前に花粉情報から対策を立ててください。また、必要なとき以外の外出は控えめにしてください。
  • ・花粉が多く飛びやすいとき

    ①雨の日と雨上がり:
    花粉は雨が降れば地面に落ちますので雨の日は飛散量が少なくなりますが、雨が上がると遠くから飛散する花粉に加えて地面の花粉も巻き上げられますので、飛散する花粉は倍増するとお考えください。

    ②朝と夕方:
    一般に花粉は通勤・通学時間帯にあたる朝と夕方に多く飛散する傾向があります。日の出から時間とともに気温が上昇するにしたがって花粉も目や鼻の高さに浮遊しやすくなることや、夕方にかけて気温が下降するにしたがって上空にあった花粉が降りてくると考えられます(地形や建造物、地域により差があり、1日で最も気温が上昇する13~15時ころに飛散量が増える場合もあります)。

  • ・花粉回避の服装:花粉は全身に付着しやすいので、頭髪は帽子で、目や鼻はメガネやマスクで、首はマフラーやスカーフで付着を防ぎ、花粉が付着しにくいような表面がツルツルした上着を選びましょう。
  • ・帰宅時:家の中に花粉を持ち込まないように玄関前で花粉を払い、すぐに着替えて外気に露出した顔などを洗い流しましょう。

8.花粉症の環境整備

望ましい室内環境の整備の例を挙げます。

・一般に、カビやダニが増えるのを防ぐためには部屋を換気して湿気がこもらないようにしますが、花粉飛散時期は花粉を室内に入れることになるので、なるべく窓を開けずに除湿機などを活用してください。
・ダニの繁殖を防ぐために寝具を太陽の光を当てて干すことが推奨されていますが、寝具への花粉の付着を防ぐために乾燥機を活用して、花粉飛散時期は外気にさらさないようにします。就寝中に花粉を吸い込まないように、寝具の鼻に近い部分を、表面を湿らせたティッシュペーパーやタオルで拭き取ることも効果があります。
・花粉の飛散時期には洗濯物は屋内に干しましょう。洗濯物を屋外に干した場合は、花粉を落としてから取り込むか、掃除機をかけましょう。
・エアコンのフィルターはこまめに水洗いします。
・カーテンは薄い製品を選んでときどき洗濯します。
・家具は壁から少し離してすきまをあけて設置します(ときどき掃除機をかけます)。
・床はカーペットや畳よりもフローリング(板張り)にします。
・ペットはなるべく飼わないようにします。
・ソファは布製ではなく革・合成皮革製を選びます。
・観葉植物は置かないようにします。
・ぬいぐるみは毛羽立った製品を避けて表面がツルツルの製品を選びます。
・床はこまめに掃除機をかけます。花粉粒子は小さいので掃除機によっては室内に拡散させてしまうので、花粉飛散時期は拭き掃除が有効です。