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ぜん息(小児編)

治療の主役は患者さん。自己管理の進め方などを解説しています。

1.小児のぜん息の治療の進め方

ぜん息治療の主役は患者さんです。両親など保護者の方と医師や看護師とチームになってぜん息治療(長期管理と発作治療)を進めていきますが、患者さん自身が主体的に自己管理をしていきます。診療する医師と、ぜん息の原因となるアレルゲンなどの悪化する因子や薬などの相談しながら、体力をつけるためのスポーツなどを続けていきます。
良い自己管理は、必ず良い結果(治療目標の達成)につながります。

2.小児ぜん息の治療の目標はなんですか。

①ぜん息の症状をコントロールします。
・呼吸が苦しくなったら吸入する短時間作用性β2刺激薬の吸入回数が減るか必要がないようにします。
・昼夜を通じてぜん息の症状がないようにします。

②病院・クリニックで行う検査の正常化を目指します。
・ピークフロー(PEF)やスパイロメトリーなどの呼吸機能検査が正常に近い検査値で安定するようにします。
・走り回ったときやスポーツをしたとき、冷たい空気を吸い込んだときでもぜん息症状が生じないようにします。

③苦しさ、つらさを改善します。
・スポーツも含めて毎日の生活を普通に行うことができるようにします。
・治療薬による副作用がないようにします。

3.小児ぜん息の特徴

ぜん息は、空気の通り道(気道)にアレルギーの“炎症”があるために、ぜん息でない人にとってはなんでもない刺激など(悪化原因)に対して敏感に反応して気道が狭くなる病気です。治療をしないでそのままにしておくと、炎症のせいで何度もぜん息の発作が起きてしまいます。
ぜん息の発作が強くなると気道がふさがってしまい、息(呼吸)ができなくなって、まれに死んでしまうこともあります。アレルギーの悪化する原因を防いで、アレルギーの炎症を薬でしずめて、ぜん息の発作が起きないように、積極的に治療に取り組みましょう。

4.ぜん息のアレルギーの炎症への対応

ぜん息の治療でいちばん大切なことは、空気の通り道(気道)の炎症をしずめるための薬(長期管理薬)を毎日きちんと服用し続けることです。息(呼吸)が苦しくなったときにだけ発作止めの薬(短時間作用性β2刺激薬などの気管支拡張薬)を吸入してアレルギーの炎症をそのままにしておくことや、ぜん息の発作がなくなったから薬をやめよう」と自分だけの判断で薬(長期管理薬)を中断すると、ぜん息は悪くなってしまいます。

5.小児ぜん息の治療薬

◎発作が起きないようにする薬(長期管理薬)

  • 1)吸入ステロイド薬:アレルギーの炎症をしずめる薬です。吸ったらうがいをします。ステロイドを怖がる人がいますが、長年の使用経験から安心して服用できるようになっています。
  • 2)吸入ステロイド薬/長時間作用性吸入β2刺激薬配合剤:アレルギーの炎症をしずめる吸入ステロイド薬と空気の通り道(気道)をひろげる薬がいっしょになっています。
  • 3)ロイコトリエン受容体拮抗薬:アレルギーの炎症をしずめて気道をひろげる薬です。
  • 4)クロモグリク酸ナトリウム(DSCG):身体の中でアレルギーの反応をやわらげる薬です。
  • 5)Th2サイトカイン阻害薬:気道がせまくならないようにアレルギーの反応をやわらげる薬です。
  • 6)テオフィリン徐放製剤:アレルギーの炎症をしずめて気道をひろげる薬です。
  • 7)抗IgE抗体製剤(オマリズマブ):上記の1~6の薬でもぜん息の症状がよくならないときに注射します。
  • 8)長時間作用性β2刺激薬(貼付薬):夜寝る前に身体に貼って寝ている間や朝起きたときのぜん息の症状をやわらげるための薬です。

◎ぜん息発作のときの薬(発作治療薬)

短時間作用性吸入β2刺激薬:ぜん息の発作でせまくなった気道をひろげる薬です。いつもは長期管理薬を服用して、ぜん息発作のときに吸う薬です。

6.小児ぜん息の悪化予防

ぜん息の発作は、空気の通り道にあるアレルギーの炎症に、さまざまな悪化する原因が重なって起こります。タバコの煙や、家の中のホコリやダニなどが悪化する原因となりますし、冷たい空気や激しい運動がぜん息発作のきっかけになることがありますので、アレルギーの炎症をしずめる薬を服用したうえで悪化する原因を減らしていくように家族みんなで取り組みましょう。

7.小児ぜん息の状態を知る方法

ぜん息の状態は「ピークフローメーター」や「ぜん息日誌」でわかります。ぜん息が悪化する原因が増えたり、体調が変化したり、自分でもわからないうちにぜん息の状態が悪くなるのを事前に知ることができるようになります。

◎「ぜん息日誌への記入の仕方」

①天気の変化:前の日とくらべて気温が急に下がるとぜん息の発作が起きる人が増えます。
また、季節の変わり目は体調が悪くなる人が増えます。

②ふだんの生活:学校に行けましたか。体の調子はよかったですか。ぐっすり眠れましたか。運動はできましたか。
③体の症状:熱はありませんか。鼻水は出ていませんか。せきは出ませんか。
④ぜん息発作:息苦しさがあったら苦しさを大・中・小で書いてください。運動をして症状は出ませんでしたか。
⑤薬:予防の薬(長期管理薬)は吸いましたか、飲みましたか。発作止めの薬は吸いましたか、飲みましたか。
吸った人は何回吸ったかを書いてください。

⑥ピークフロー測定値:1日のうち、朝と夕方(夜)に2回測定して測定値を書いてください。

※「ぜん息日記」は、環境再生保全機構に申し込むと無料で入手できます。
https://www.erca.go.jp/yobou/pamphlet/form/index.html

ピークフローの測り方

ピークフローの測り方

8.ぜん息のアクションプランシート(ぜん息個別対応プラン)

ぜん息の発作が起きたときにどうすればよいか、朝と夜に測っているピークフロー(PEF)測定値が低くなったときにどのように対応すればよいかなど、体調が変化したときの対応(アクションプラン)を、医師と相談してあらかじめ決めておきます。PEF測定値がいくつになったら発作止めの薬を服用するか、それとも受診するかなどを相談しておきます。

◎望ましい室内環境の整備

室内環境の整備」を参照してください。